森田清子インタビュー 雄三とイッセー尾形と、最初に会ったとき | イッセー尾形・らBlog 高齢者職域開拓モデル事業「せめてしゅういち」

森田清子インタビュー 雄三とイッセー尾形と、最初に会ったとき

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清子インタビュー 雄三とイッセー尾形と、最初に会ったとき

 

桐朋の演劇科を卒業して専科に2年いたの。卒業公演だったかな、見てくれた女性のプロデューサーに勧められてオーディション受けて、唐十郎が初めて書いたラジオドラマに出演することになったのね。その顔合わせのときに、出演者として来ていた雄三と尾形さんに会ったの。リハが終わって休憩で廊下にでたところで、いきなり駄目だしされたのよ。雄三に。

「あんたみたいな女優、ごろごろいるからさ」って。そうだなって思えたから、

「本当にそう思います」って言ったの。あとで人は、ひっかけようとしたんだと言ったけれど、違うのがわかったの。ただ、そう言っただけ。だから、私も素直にそう思いますって言ったんだと思う。引っ掛けようとしているんだったら、違う反応が出てきたはず。

 

次に会ったのは偶然。自由劇場へ雄三が行こうとしていて、私は反対方向、六本木の交差点あたりにあったお店で皿洗いのバイトに行くところだった。

どうも、って挨拶したら、「台本書いてるから、読んでよ」って言われて

「機会があったら読ませてください」って、どこ行くの、って聞かれたから、これこれのお店でバイトしにって言って別れただけ。

 

そしたらしばらくして、お店が終わるころに一人でやってきて、お金ないし、ビールだけ注文して飲んだの。で、すぐ酔っちゃって、お店の外行っちゃって、大丈夫かなと思って見に行ったら、しゃがんじゃって、「大丈夫です。帰ります。本、いつ読んでもらえますか。」って。そのころ、横浜の父が心配して、私アパートに黒電話引いていたの。で、電話かかってきて、渋谷の西武裏の喫茶店で読んだのかな。衝撃的だったね。今のワークショップと同じようなシーンが戯曲になっていた。わたし、演劇を4年も勉強していたけれど、実は戯曲って、どうしても面白いと思えなくて、なかなか読み進めなかったの。でも、雄三さんの戯曲はその場で全部一気に読めちゃった。

「すごいです。私戯曲一気に読めたの初めてです。」って言ったのね。

 

尾形さんに会ったのは、雄三さんとラジオドラマの通行人の役で来ていたから、同じときね。

雄三さんのせりふは「俺、知ってるよ」で、

尾形さんは「あんた、知ってるよ」だった。うん。それだけ。

尾形さんにもそのあと偶然会った。私が自由劇場へお芝居見に行ったときに、並んでる中にいたの。

 

で、雄三さんと出会ったのは5月で10月には結婚してたね。尾形さんは雄三さんと一緒のことが多くて、2人でわたしんちにご飯食べに来たりしてた。2人で来るのが当然みたいな感じだったの。私が23だったから、尾形さんは21。雄三さんは26だったかな。

 

雄三さんは働いていなかった。自由劇場で教えたりはしていたけど、月に2万くらいだったかな。で、私働かなくちゃって、バイトしていた店の常連のお医者さんが、君みたいにちゃんと働く子がいいと思うって。友人が新宿に店を出すつもりで、もうからなくていいから、だれかに任せたい、もう居抜きで借りてあるっていうので、そのまま、バイトのお店で鍵預かって、その足で店開けてやり始めたって感じだった。

 

食事は自信がないって言ったら、料理作る奥さんみたいな人がきてくれたけど、お酒呑むところだから、そんなに料理いらないな、余るしもったいないなと思ってたら来なくなった。で一人になってやってて、一月に一回くらい鍵くれた人が見に来たかな。カクテルとか作れないからってバーテンの男の子が来た。大きな身体の子でね、若いの。中学生のとき、東京から来たスナックのお姉さんって人にあって、可愛い子ね連れて行くと言われて、家出してそのままって言ってた。一生懸命働く子で、作ったことのない酒を注文されたら、カウンターの中でうずくまって本見て、作ってた。

 

昼間は新宿の京王百貨店で皿洗いしたり、マネキンって販売員のバイトしてた。でも、2箇所で働くより一箇所で働いた方がいいな、と思って、東京中のデパートマネキンでリサーチしてみたのよ。桐朋にいた頃、堤清二と安部公房が対談していたのを読んで、堤清二が出したい店に働く人について、安部公房が、「フリーの子で音楽とか芝居とかやってる子がいいんじゃないか」って言ってるのを覚えてて、西武に行ってみて、渋谷の西武で働こうと思って、マネキンね。今の派遣社員みたいな感じ。7年働いた。ものすごく売ったわよ。一度堤清二が見に来たくらい。

 

女優なんでやらなかったかって?

雄三の戯曲初めて読んだときに、はっきりわかったの。私が女優でやりたいことと、雄三の戯曲は雲泥の差だと。台本読んでそう思ったの。降って降りてくるみたいに思ったの。27くらいまで2年ほどは雄三の芝居の稽古には出てはいたけどね。尾形さんもね。

で、30になる誕生日のころに長男を産んだのね。