~会社生活~ あらすじ2 | イッセー尾形・らBlog 高齢者職域開拓モデル事業「せめてしゅういち」

~会社生活~ あらすじ2

「会社生活」の後半です。



○労務者3人組は待たされている。


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(古参社員が、怒られるのを見ている)


親方 「あのおじさん、ぼろくそに言われてな。あんな若造に言われたら無理だな俺。おっなんか来たぞ」


(お茶を運んでくる、秘書課の女性)

(女性の顔を覗き込む三人)

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親方 「おい藤川、お前電話とか出れるか?やってみ?」

藤川 「もしもし?ああーあなたでしたか。昨日はどうなることか思ってましたよー」

親方 「ダメだ!やっぱ無理だわ。つーかさ、待たせ過ぎじゃね?もう俺イライラしてきたから俺帰るって言って来てくんね?」

藤川 「じゃー言ってきます」

 (出ていこうとする藤川)

親方 「だめだめ!こういうの我慢しなきゃいけないんだからね。あとお前ら、このお茶は飲んじゃいけないんだからね。これ飲んだらコラってやられるから」

藤川 「お茶好きはかわいそうですねー」




○ジュニアへの説明



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社員 1 「ジュニア。左から並んでおりますのがアラジン、パスカル、ジー二となっております。それぞれの通信キャリアごとに使う登録端末でございます。一番右にありますのが最新のタブレット形の端末となっておりますので、これだとカウンターでお客様を待たせないで、全部できちゃうんですよ。これらが当社の最新の設備になっています」


社員2 「ジュニア、あちらのテレビ画面を御覧ください。あちらは安全管理システムと申しまして本社のどこの部屋で何があっても、これさえあればわかるというものです。それだけではなく、エマージェンシーシステムというのがうちの会社全部を網羅しております。ご安心ください」


社員3 「ジュニア。我が社の世界66か所の支社からの売り上げデータがこのホストコンピューターに入って来ます。このデータがこっちの経理システムにつながっています。どんな時でも我が社が今どのぐらい売り上げがあったか、どのぐらいのコストがかかっているのか、損益分岐点まであとどのぐらいなのかが月次ベースで分かるようになっています」


 (うつむくジュニア)


社員三人「は?なにか?」


 (うつむくジュニア)


社員1 「えー、ジュニアはここのアーキテクチャーを使ってより良いシステムを皆さんに開発して下さい、これがR&Bチームのミッションですとおっしゃられています。ですよね?」


 (うなづくジュニア)



○社員の安息


・愛人とのケース


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 (鼻歌を歌う男声)


男 「君わかってると思うけど僕は君とは結婚できないよ」

女 「うちのおじいちゃんが70歳の時に再婚しました。おじいちゃんが亡くなったあと、家も土地も経営していたマンションも、再婚相手に根こそぎ持って行かれました。結婚て複雑ですね」

男 「今度俺の後輩紹介するよ。実家、北海道で牧場経営してるたしいよ」

女 「この間、眼が覚めたら病院でした。腕に点滴をつながれて。朝まで芋のロックを飲んで道路で寝ちゃったみたいで。通報されたとお医者様が言っていました。

 どうですか?それでもまだ紹介したいと思いますか?」

男 「良い奴なんだよ。酪農で生計たてられるほどだって」

女 「(唄う)♪あなたが私を嫌いになったらー♪」


 (男が女の肩に手をまわす)


女「放せ、このやろー!」


 (女は男の肩にのせる)



・母親とのケース

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 (鼻歌をうたう息子)


母 「ヒデ!あんたちょっと太ったんじゃないの?夜中にご飯食べてるんだろ。お前会社でコンピューター使ってるんだろ?この赤いのさどんな薬か調べてよ」


(息子は新聞から眼を放さない)

息子 「ホームラン記録ぬりかわるかもしれないなー」

母 「え?なに?誰が打ったの?あの人?巨人かな?近鉄かなー?」


息子 「あ、あの煮もの食った?」

母 「そうそう、おいしかったねー。あんた作ってくれたの?」


 (突然、泣き出す母)


息子 「泣くなよー、たかだかハムスターが死んだだけだろー」

母親 「そうね、お前の言う通りだ」

息子 「庭のモミの木のでっかいのあるじゃん?俺が子供の頃、チカチカ電球つけてクリスマスに飾ってたんだってな。俺全然覚えてないや」


母 「知ってる?藤圭子さん。ねー。(唄う)♪15、16、17と~♪。(宇多田ヒカルに変わる)♪イッツオートマーチック♪。母ちゃんね若い頃、藤圭子さんに似てるって言われてたんだよ」



・妻とのケース

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 (鼻歌を歌う夫)

妻 「ちょっと、あきらねまだ宿題終わっていないんだって。夏休みの。あと二日しかないんだけど。読書感想文と自由研究と。日記もね8月10日から書いてないの。私、読書感想文やるからあなた後のやってくれる?徹夜してね。

 で、日記はネットで天気とか調べられるから。赤が晴れ、青は雨。筆跡ね注意してね。左手で書いたらいいから。ちょんちょん、って書いてあるのは右と同じ日って意味だから。それたまに書き足さないとまずいからね。私今から本読むから。っていうかあきらの感想文さ『4っつのうち3っつがオススメです』って書いてあるんだけど。まーとにかくやってね。」


 (夫は宿題始める)


夫 「あと俺やるから寝な」

妻 「あ、そう?よろしくー」


 (部屋を出て行く妻)


夫 「夏休み、うぜー」



○会社の騒動


・始末書が読みあげられる。

・退職届け読みあげられる。



○会社倒産の危機。


 (アクテングエリアを囲んで、四隅に管理職が立つ。舞台は空っぽ)


「会社つぶれるみたいっすよ」

「本当に?」

「いや、まだそういう話は押さえて下さい」

「話押さえなきゃいけないらしいんですけど、つぶれるらしいんです」

「あーガチっすね。決定です。ただ黙ってて下さいって」

「実はつぶれるみたです」


周りの全員も、「えー」と驚きの声を上げる。




○奇妙な行動をとる勤め人たち。



・部下の女性に「愛の告白」をするケース。

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男性 「会社つぶれるらしいよ」

女性 「そうですね」

男性 「実は君のことが好きだったんだ」

女性 「私も好きでした」

男性 「君が初めて配属された時に一緒に出張行ったよね」

女性 「そうですね」

男性 「あのガラスの博物館きれいだったね」

女性 「きれいでしたね」

男性 「ペンダントトップ買ってあげたよね」

女性 「あれ今でも持っています」


男性 「会社つぶれるって」

女性 「そうですね」

男性 「前出張で行ったシンガポールの、ビジネスの機内食おいしかったよね」

女性 「とてもおいしかったです」


男性 「会社つぶれるんだよね」

女性 「つぶれますね」


男性 「キッチン今野のクーポン券、使えないんだよね」

女性 「捨てましょう」




・風俗で「愛を告白」するケース。


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客 「俺の勤めている会社がつぶれるらしいんだよ。明日から職探しだよ。君この店入って長いの?」

ホステス 「私、実は今日初めてです」

客 「え、新人さんなんだ―。へー。なかなか勇気あるよね」

ホステス 「友達がやってたしーなんかやってみたいなーって」

客 「え、なんか動機とかあるの?」

ホステス 「私お金貯めたくってー。」

客 「え?何お金貯めてなんかすんの?」


 (ホステスの膝に手をおく)


ホステス 「はい、あのー旅に出たくって」

客 「へー旅?どこに行きたいの?」


 (ホステスの肩に手をおく)


ホステス 「アフリカの中央部とインドとネパールも行けたらなぁーって」

客 「へー。夢があるっていいよねー」


 (ホステスの肩に手をまわす)


客 「そう海外かぁーいいねー」


 (ホステス泣き出す)

 (客は手を外す)


客 「チルチルミチルのおばあさんに頼まれて青い鳥探しにいくじゃん。いろーんな国のいろんな所に行くんだけど、見つからなくって。帰ってくると家の鳥籠の鳥が青かったんだーってそんな話だったよね?」


 (ホステス泣きやむ)


客 「昔あるところに、若い牛がいてのんびり暮らしているんだ。いいもの食って。その牛の近くに年寄りの牛がいるんだけど、これがね毎日毎日泥まみれになって畑耕してるんだよね。それをさ若い牛が見ててさ、あんなんになりたくねーなーって見てるんだけど。ある秋祭りの日に、村の人が年寄りの牛の鎖を外してくれて解放されるんだけど.……」




・下請け業者に「愛を告白」つづるケース。


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下請け 「会社なくなるんですってね」

大手 「そうらしいね」

下請け 「私、片桐さんのことが好きでした」

大手 「俺もだよ」

下請け 「安田部長がごちゃごちゃ言ってた時も、プレゼンの資料何枚も何枚も作って。よく徹夜しましたよね。あと、箱根の件もレイアウト変更が何回もあって。ああー片桐さんのために一曲歌おうっかな」


英語の曲を唄い出す


大手 「大丈夫だよ。俺4回も転職してるからまだまだいける」

下請け 「あの...」


下請け 「だから、あの...」

大手 「資格もあるから大丈夫だよ」

下請け 「あ、でも……」




○会社が持ち直す。


 (空っぽの舞台四隅に管理職が立つ)

「なんか会社大丈夫みたいっすよ」

「まじっすか?」

「つぶれないんですか?」

「おさえて、おさえて」

「なんかおおっぴらに出来ないんですけど、大丈夫みたいすよ」

「じゃー資金繰りのめどついたんですね」

「おさえなきゃいけないんですけど大丈夫になりました」

「なーんだ」


 (周りの全員からも喜びの声が上がる)



○再び繰り返される「会社生活」


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・朝礼


社員 「コンサルティング会社から業務改善命令です。コスト改善のアドバイスを頂きまして、皆さんにお伝えします。書けなくなったボールペンですが、ボールペンの芯を申請書と一緒に総務に出して下さい。総務の方が新しいものをくれますので、また入れて使って下さい。捨てないで下さいね」


社員 「皆さまにお知らせです。我が社の防災備品の中に入っている非常食。あと一週間で期限がきれます。そこで皆様にお持ち帰り頂けることになりました。鯖の水煮が一人五個まで、ポカリスエットも5本。カロリーメイトも5個までなんですが、サトウの御飯だけは一人2個までなので注意して下さい」


社員 「先週からセキュリティIDのほうをネックストラップにつけて自由に伸びるようになております。最近外をランチタイムに歩いていますと、スタミナラーメンの前とか男のレバカツ丼の前で並んでいる時に、うちの社員がびょーんびょーんとやってるのを見かけます。外に出るとき、会議で発言しない時はネックストラップを外してポケットの中に入れといて下さいね」


 (全員が立ち上がり、「会社の歌、社歌を合唱する)

号令 「0災で行こう!よし!」


 (全員が片手を腰に手を当て、号令に合わせて片手を突きあげる)


 (暗転・終わり)