「会社生活」公演 あらすじ 1
9月1日(日)に行われた「会社生活」公演のあらすじです。今回は前半。
○朝礼シリーズ
(企業に金庫を運びの依頼を受けてやってきた、建築現場仕事の3人組。)
親方 「しっかし、すげーオフィスだな。おっ、一番最初に目に入ったもの言ってみろ」
藤川 「観葉植物ですね。あれはコーヒーの樹ですよ。」
親方 「お前よく知ってるな。」
藤川 「実家にあるんです」
親方 「お前ら、ここは商社だからなピシッとしなきゃいけねーんだぞ。商社っていえばなんだ?太田」
太田 「まねき猫」
親方 「ウケを狙ってんやがる。こいつほっとこうな。あ、前の方にさ女の子達仕事してんじゃん。どれが好みの女かか言ってこうぜ。藤川は?」
藤川 「前から3列目で、横から二列目です。服は赤いジャケットに黒のキャミソールです。」
親方 「え?髪型は?」
藤川 「ツインテールです」
親方 「好きねーっそういうの。おっ、なんか人が来たよ。俺ら車で休んでようぜ」
(社員がやってくる)
誓約書を社員が読む。
「社内で知り得た事を、他に漏らさぬ事を御誓いします」
終わると朝礼が始まる
塩加井 「わが社はお客様がやってくるカウンターの横にトイレがあります。時々、お客様が契約をなさっている時にカラカラカラと聞こえてきます。皆さんトイレットペーパーを使う時は上のふたを上げて音がしないように使って下さいね」
別の社員が誓約書む。
「以下の行為があった場合、処罰されても不服は申し上げません」
鈴木 「先月社長が書かれた本に続き、今月は会長が書かれた本の社員販売が始まります。係長以上は必須ですので必ず買うように。駅の隣にある古本屋に、我が社に関わる本が新品のまま沢山出回ってるということです。皆さん、詳しくは言いませんが、大人の対応をするようによろしくお願い致します」
誓約書を社員が読む。
「業務以外で、女性社員に連絡は致しません」
中島 「本社ビルのエレベーターを使用する場合、身障者用のボタンを押して使っている方が多数見受けられるということです。あのボタンを使用すると開閉時間に1.5倍ぐらい時間がかかり効率も悪いのでね、皆さんが使用する時は通常のボタンを使用して下さいね。よろしくお願いしまーす」
社員1 「必ずページ番号をふる時は『1』から始めて下さい。『0』は使用しないで下さい」
社員2 「エアコンのスイッチを入れても入れても切る人がいます。せめて一台はつけといて下さい」
社員3 「なんで派遣社員は、傘を干してはいけないんですか?正社員はみんな干してるじゃないですか」
社員4 「あのー、冷蔵庫に入れるペットボトルとかヨーグルトとかには、漢字で名前を書いて下さい」
全員立ちあがり、腕を振り上げる。
号令「0災で行こう!よし!」
○駄目社員井口シリーズ
上司中島。
上司 「で、今月何台売ってんの?」
部下 「5台です」
上司 「今月の目標は?」
部下 「50です」
上司 「だよね?今日15日だよ。あと15日で残りの45台、どうやって売るの?」
部下 「一生懸命頑張ります」
上司 「一生懸命ってさ、みんなやってることで基本給のうちだからね。残りをどうやって売るかって具体的な方法ないの?」」
部下 「傾向と対策を具体的に分析して、頑張ります」
別の上司がやって来る。
上司鈴木
上司 「今日の君の業務スケジュールによると、野村様、星野様、田口様の順番だよね?でも今日星野様から『井口君がまだ来ていない、どうなってるの?』って電話があったんだよね。」
部下 「えー?本当ですかー?僕のところには入っていないんですけど」
上司 「当り前だろ。君は行ってないんだよね?」
部下 「いいえ、行きました」
上司 「え?じゃー俺が嘘ついてるわけ?星野様が嘘ついてるの?どっち?」
部下 「さー。それは僕には分かりかねます」
上司 「君の社用車が、よくパチンコ屋の前に停まっていたり、川っぷちに停まっていたりするのを目撃されてるんだよ。どういうこと?」
そっぽを向く部下。別の上司が来る。
上司 「今日ランチ行ったじゃん?部長さー『八重の桜』の話してたよな。なんでお前そこで戊辰戦争の話題に持って行くわけ?」
部下 「戊辰戦争が僕の卒論だったんで」
上司 「みんなね、お前の戊辰戦争の話を聞きたくてあそこにいたわけじゃないんだよ。あそこでね部長が『八重の桜』の話をしたってことは、もしかすると福島支店のトラブルの話になるかもしれないじゃん。
もうすぐ異動時期だから、そういったヒントを部長が投げるの。それを俺達が拾うの。
部下「……」
上司「もう一個言っとくけど、この間部長がダイオウイカの話したじゃん?お前さそん時さ、『部長、先週もその話しましたよね』って。でさ、『部長、イカ大王じゃなくて、ダイオウイカですよ』って言ったよな。俺たちが、へーそうなんですねーと真面目に聞いてる時に、お前があんなこと言ったら、俺たちの立場どうなるんだよ。
別の上司登場
上司 「生産管理部の長谷川君、長期療養入ったんだってさ。お前も長期療養しろよー」
部下 「僕、健康なんで」
上司 「まともに働いてたら、病気の一つとか二つとか礼儀だから」
部下 「僕に辞めろってことですか?」
別の上司登場
上司 「佐藤先生、またテレビに出てたな。あの先生仕事もしないでテレビばっか出てやがる。中島先生はひがんでいるからな。橋本先生だってテレビ出演の予定があるんだよ。その話振られたら、お前はどうする?」
○コネ入社シリーズ。
面接官 「わが社に入りたいってことですよね?志望動機を聞かせて頂けますか?」
入社希望者 「父に面接に行くように言われて」
人事の面接官
面接官 「財務の処理、パソコンのソフトを組む、営業、あなたはどれが希望ですか?」
入社希望者 「前職が衆議院議員の秘書をしておりまして、うちの代議士が落選をして事務所を縮小することになったので、それで...こちらの会社に伺いました」
面接官 「いや、私が伺ったのはどれが希望ですか?ということです」
面接希望者 「じゃ営業です」
営業部長 「営業やりたいって?じゃー早速ですけどちょっとやってみましょうか。僕がまずやってみますんで。『こんにちは!ジャパンネットワークの中島と申します!』 これ基本中の基本だからね」
面接希望者 「こんにちは。ジャパンネットワークの筧と申します」
営業部長 「うん、声がちっちゃい!じゃー次。これは簡単だからね。『今、お使いの携帯会社から新しい携帯会社へ乗り換えて頂くと51360円の端末代がなんと0円になるというお得なキャンペーンをやってるんですよ』 ちょっとやってみてくれる?」
面接希望者 「今お使いの携帯会社から新しく乗り換えて頂くと…….」
営業部長 「いや、違うな! すみません少しお手本を見せてもらますか?」
別の営業が、専門用語を交えた手本を見せる。
出来ない入社希望者。
○業務指導シリーズ
< 上司と部下 >
上司 「私優しいのね、恐くないのね、だからわかんないことあったら何でも聞いて。今回のテスト工程はハブ&スポーク。ハブって言うのはこう真中にあるじゃない?それでスポークをさすっていうスタイルなのね。わかる?」
部下 「ハブは……」
上司 「ああーもういい。それで今回のはSOA。ソースオリエンテッドアーキテクチャー。」
部下 「先輩。先輩。もうちょっとゆっくり喋って下さい」
上司 「メモとろうか。新人はね先輩に同じこと二回聞いちゃいけないの。新人はね三年間お給料、会社持ち出しなのよ。わかる?」
部下 「ああーだから三年でやめる新人が多いんだ」
<人事異動>
部下 「私が前いた会社では、小野さんという、やたら横文字を使う人がいて、ポストモダンやらなんやら。あと佐久間さんて人はデータベースをいじるクセに、最後は紙媒体でお願いしますとか言って来てー。でこの会社の杉田さんて人はどういうかたなんですか?」
上司 「もと自衛隊員」
部下 「小澤さんは?」
上司 「毎回毎回締切が短いの。30分以内とか1時間以内とか。で、終わったなと思ったら追加がどんどん来るのよのねー」
部下 「高橋さんは?」
上司 「高橋さんはねメールの件名に『至急』って入れてくるの。でも至急じゃないの。その日中でいいの」
<いざこざ>
上司 「廊下ですれ違うと大廻りして私を避けるでしょう。化粧室で鏡越しに目が合っても無視したり。私のこと嫌いでしょ?」
部下 「はい」
上司 「はっきり言ってくれていいよ。陰で私のこと『鉄仮面』って呼んでるの知ってるし。私のどこが嫌い?」
部下 「うーん、なんかピリピリしてるところですかね」
上司 「10時までって頼まれた仕事は9:45分に終わらせたいの。私がイライラしてるんじゃなくて、後ろにズラ―っと並んでる仕事がそうさせてるの」
部下 「あ、先輩この間の接待のこと気にしてるんでしょ。お年寄りばっかりだったから頼んだ料理がぐちゃっと余ってて、そしたら小松常務が『越野君、君が食べなさいよ。村田?村田はいいよ村田はお洒落だからな』って言ったの気にしてるんでしょ」
上司 「あなたは15分の仕事を15分掛けてするでしょ。あなたのマイペースなところが嫌いよ」
部下 「私も先輩の、ピリピリ、イライラしてる所が大嫌い」
上司 「だから中途採用はダメなのよ。うちの会社の流れにあわせてよ」
部下 「つーか、会社の創立記念日のイベント会場の設置とかもあと10分でお客様がくるという時だって必ず間に合わせて来ましたからね!先輩の仕事って結局『やったふり』でしょ。」
上司 「え!? 私のは『やったふり』なの?」
<いざこざ、2>
上司 「遠藤さんのこれからの将来を考えて『女性のためのマネージメント研修』に行ってもらいたいと」
部下 「なんで私が行かなきゃいけないんですか?知ってますかそういう研修ってね、わけのわかんないカリスマ実業家の自慢話を二日間聞くんです。一日5万、二日で10万とられるんです。10万もかかるんだったら私の月給あげろよって話ですよ」
上司 「ちょ、ちょっと聞いてくれる?お願い。会社があなたのために10万かけ……」
部下 「常識はいい!月給あげろ!」
上司 「あのね、あのね、今は女性が偉くならなきゃいけない。あなたの下にも後輩がいっぱいいるでしょ?あなたは後輩たちの星にならなきゃいけないんです」
部下 「そんなの3年前の話じゃなーい?古い」
上司 「あのね、あのね」
部下 「だからさー」
< 大手の会社VS下請け >
大手 「川崎さん、なにこれ?オレンジにしてって言ったよね。なんで紫なの?聞いてるの?それに高橋先生の『はしごの髙』だから。名前間違うなんて致命的だよ。女性らしさを出して欲かったから君の会社にしたのに。見積もりが一番安かったわけじゃないんだよ。何なんだよ、こんれは。」
下請け 「言うそれだけですか?」
大手 「まだあるよ!」
下請け(逆ギレする) 「黙って聞いてりゃーよー! 五年前の見積もりだって呑んでやったじゃねーかよぉー!あんたんとこがやたらレイアウト変更してくるからよー、うちのスタッフ達も徹夜続きで、鬱だパニックだで辞めてっちゃったじゃねーかよ。なのにさ、なんだよ!」
(気まずい間)
下請け 「すみません」
大手 「いや、うちも確かに悪かった」
下請け 「いえ。とはいえ今日の会は良かったですね。先週行った箱根のホテルよかったですよ。500人ぐらい入るホールがあって駅からも近いし。今度また詳細お送りします」
○日常業務
上司 「おはよー!今日の星占いみたー?」
無視する女性社員。
上司 「越野ちゃん、お茶おいしかったー。どうやっていれるの?」
越野 「インスタントですけど」
上司 「えー?今度からインスタントにしよ。」
上司 「石黒、お前電話出るの上手くなったなー。最初のハイっていう一声がいいよなー」
石黒 「ありがとうございます」
上司 「戸田ちゃん、この間教わったランチの店おいしかったー」
戸田 「え?そうでしたかぁ?」
上司 「岩城さん、いいねーそのピンクのシャツにぴらぴらのスカート。あ!ごめんこれセクハラだ!」
(女性社員が失笑する。喜ぶ上司)
上司 「今日のさ、星占いで、俺4月20日生まれでしょ。4月20日って牡羊座の一番最後になってる時と、おうし座の最初になってる時がある。今日のランキングは、おうし座は一番、牡羊座はぺけだから、今日の俺はおうし座なの」
(女性社員の笑いに、安心して出て行く上司)
「今日はレディースデイだから残業はしません」
「今日は久々に歩いて帰ろう」
つぶやく女性社員
○怒鳴られる古参社員シリーズ
怒る年下の上司、1
上司 「いい加減にして下さいよ。営業の若手にね変なこと囁かないで。月末に一発逆転狙えばいいんだとか、そんなねバブルじゃないんだから。」
古参社員 「すみません」
上司 「いつもあなたは『すみません』ですね。聞き飽きたんだよ。あなたは昔バブルがはじける前は伝説のセールスマンだって聞きましたけど、今はただのおいぼれじゃないですか!あなたは今や若手に病気をうつすウイルスです」
(出て行く上司)
古参社員 「はーぁ」と、大きく息を吐き、首をまわしたり、伸びをする。
若手 「四面楚歌ってなんでしたっけ?」
古参社員 「敵に全部囲まれちゃってさ、にっちもさっちもいかない状態だネ。まー長い人生生きてりゃさ、そういう時もあるさ。今ある自分のできることをちゃんと考える事が大事だね。自分が出来る事を書き出してみたらいいよ」
怒る年下の上司、2
上司 「またあんたかー。もうー、何度言ったら分かるの? 免許証以外の書類で本人確認とる時は保険証か住民票。保険証は発行から3カ月以内で、現住所記載してあるもの。これさぁーアルバイト初日に覚えることよー。なんでそれできないの?」
部下 「すみません」
上司 「時間無駄なのよ。ミス起こすでしょ、俺呼ばれるでしょ、その時間店頭立ってたら5台は売れてると思うんだよ」
部下 「すみません」
上司 「いいなー。すみませんでお給料入って」
(上司が出て行く)
古参社員は、大きく息を吐き、肩のこりをほぐす。
若手 「痩せ蛙、負けるな一茶ここにあり。ですよね」
古参社員 「小林一茶ってね、人のことをちゃんと考えてくれた人なんだよ。僕もね、人から何を言われても、ちゃんと考えようと思うんだよ。そうすれば長生き出来るんだよ。分ったかい?」
上司 「あなたさー、親会社から誰か来るときだけスーツ着て来るよね? いつもの時はポロシャツにチノパンとかでさ。みんな真似しちゃうじゃん。子会社をなめないでよ。ネクタイだってからし色と赤いペイズリーの二本で。何で、ズボンに折入ってないの」
部下 「すみません」
上司 「ちゃんとしてくんないとしめしつかないんすよ。いいすか?お願いしますよ」
(出て行く上司)
(大きく息を吐き、肩の凝りをほぐす古参社員)
若手 「俳句やられるんですよね?俳号をお持ちだと」
古参社員 「俳号は春海。俺の俳句聞く。『春の海 ひねもすのたり、のたりかな』。良い句だろ?春の海を見てると心が静まるんだ。そんな人生を送りたいな、ってね。『秋の空 こころ澄ませば 幸の音』 どうだ?いいだろ?秋の風を心で聞いてれば幸せが訪れて来るんだ」