放射線治療の検討|小線源治療 外照射
放射線治療を希望するなら、ご自身が放射線治療を良く理解している必要がある。泌尿器科医に放射線治療をしたいと伝えても、その医師が放射線治療に詳しいとは限らないため、患者自身が主体的に治療法、治療先を選ぶ必要があるからだ。ここでは私が治療を受けた小線源治療の特徴を簡単に紹介します。まずは比較用に外照射治療から
外照射治療
外照射治療システムはミリ単位に照射できるほど高精度:システム自体は高精度だが、現実には人体との相対精度を上げるのが難しい。前立腺は直腸と膀胱に挟まれており時間の経過とともに動く、あるいは変形するため、それに追従しダイナミックに照射野を変えながら照射を行う必要がある。システムに内蔵されたCTやレントゲン、レーザーを使って位置合わせを行うが、それでも生体に誤差なく追従できるわけではないので、必要な範囲+数ミリ以上のマージンが実際の照射野となる。
ピンポイント照射と言うが、放射線は照射対象のみではなく、その周辺臓器にも影響を及ぼすため、周辺臓器の許容線量が治療におる限界線量となってしまうと思われる。このため限界線量まで照射したとしても、高リスク以上に対する治療ではBEDは十分なのだろうかという疑問がある。
5~10年、あるいはそれ以上でも高いPSA非再発率を維持できているかどうか確認が必要。
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小線源治療(LDR)
小線源(LDR)は多数のシード(極小のチタニウムカプセルに封入された放射線源)を前立腺内に高精度に留置する。前立腺は時間の経過とともに体内で動いたり変形したりするが、シードはその中に埋め込まれているため前立腺との相対精度は保たれる。
小線源(LDR)の数は、前立腺体積に比例して決まり、およそ50から100のシードにより、前立腺を包むような放射線のクラウドを形成することで癌を死滅させる。1つのシードが照射する範囲は数ミリであるが、それを多数配置することで照射領域が形成されるため、前立腺辺縁部に高線量を投与、尿道のまわりは低線量にするなど自在な線量分布を実現することができる。
ミリ単位で照射が可能とする外照射システムに比べると、シンプルな機材を使い術者の手で線源(シード)を挿入留置する治療法は、一見すると精度が悪そうに見えるかもしれないが、そうではない。
小線源治療で、治療医のモニターには、事前のCTと術中の経直腸エコーにより得られた画像に、留置したシードが即時表示される。さらにその画像にはコンピューター支援によりリアルタイムで線量分布が(ちょうど地図の等高線のように)描画されるため、術者の考える線量分布を精度よく実現しやすい。このリアルタイムのフィードバックが高精度の治療を支えている。シードの放射線照射範囲はその周囲数ミリだけでありシャープな照射領域を形成しやすい。このため周辺臓器に対する影響を低く抑えられるため、必要とされる高線量が安全に投与できる。
辺縁部に刺入するニードルと中心部に刺入するニードルを色分けして認識しやすくしたり,斜めに挿入されたシードの線量分布を正確に反映する機能を持っている。 石山 博條(北里大学病院放射線治療科)
前立腺シード治療における治療計画装置VariSeedの有用性
高リスクへの対応:外照射を併用する、あるいはさらにホルモン治療を併用することで、高悪性度の腫瘍にも対応が可能。計画的なホルモン療法と外照射を併用した小線源療法をトリモダリティというが、外照射併用小線源+ホルモンのほうが一般的には理解されやすい。
小線源治療の問題点は、「シンプルな機材を使い術者の手で線源を挿入する」というところにある。問題なのはこの手法ではなく、これを精度良く実現するには医師の高い技量が必要になるということ、このためこの技術を他の医師に継承させるには、長い指導期間が必要になると思われる。つまり新たな術者の養成が容易でないということが問題点。
新たな術者の養成が容易でないことは、高精度に治療を行える医療機関が限られてしまう、という問題を生み、もし一部の医療機関に患者が集中すると望む治療が受けられなくなる。小線源は泌尿器科医がシードを挿入するが、それをモニタリングしながら挿入位置のガイド役を務めるのが放射線治療医であるため、新たな術者の養成は、泌尿器科医と放射線治療医の両方が必要となる。
小線源治療の利点も、「シンプルな機材を使い術者の手で線源を留置する」ことにある。使用する機材が外照射システムより圧倒的に低価格であることから病院経営を圧迫しない。また、1回の留置で治療が完了するので小線源単独であれば治療期間がわずか数日で済む。外照射を併用する場合でも、必ずしも小線源と同じ施設で受ける必要はないので、小線源施設が遠方であった場合、地元の病院で治療できないか相談してみると良い。
小線源治療、トリモダリティの詳細はこのサイトが詳しい
副作用・QOLを考慮し、かつ、論文を根拠としたEBM(Evidence-Based Medicine)(科学的根拠に基づいた医療)による本ブログの結論は、『中間リスクまでなら、小線源単独、または、外照射併用小線源、高リスクは、トリモダリティ療法』です。
チビ太のもの申す前立腺がん治療体験記(トリモダリティ)
オーソドックスな小線源治療:
低リスクに対する治療、外照射を併用しても中間リスクに対する治療まで、という高リスクに対応できない医療機関では、局所への照射線量が低い可能性があり局所再発が起きるリスクがあり、根治性といいう点で疑問がある。このようなオーソドックスな小線源治療を行っている医療機関は、避けたほうが良い。
5~10年、あるいはそれ以上でも高いPSA非再発率を維持できているかどうか確認が必要。
☆排尿障害 血尿、血便 尿道痛 男性機能
