ホームレスと一時間ぐらい話をした
僕は外国に行くと
大抵ホームレスと話をする
みんな
「なんで?」と言うが
彼らも同様、
崖っぷちで生きているからだ
僕らダンサーも
いつだって崖っぷちで生きてきた
世の中の粗大ゴミ扱いされる人種は
底知れぬ可能性を持っている
それが生きるか腐るかだ!
ホームレスの約9割が
アホだろうと思う

しかし、
世の中に順応できなかっただけで
実はとてもいいところがある
そんなホームレスだっている

世間はゴミと言う
ゴミと言われる気持ちがわかる
だから話したくなる
僕はホームレスのおっちゃんに
5ドル手渡した
もちろんおっちゃんは金をくれなんて
言ってない
僕が勝手に渡した。
Can you find a job tomorrow
「この金で明日、職を見つけて来い」
と言った
そしたらおっちゃんは
たぶん
That should be enough by now…
「もう十分だ」
的な事を言った
僕は、青二才ながらも
Don't give up half way
「途中で諦めるな」
と言った
彼はうつむいていた
過去に何があったのかは知らない
しかし誰だって今を生きなければ
未来など手にする事はできない
その深さは誰にも測れない
そんな時、
女性のホームレス2号が
チャリに乗ってやってきた
仕切りに
「私もお腹が空いてるんだから!」と
さっき渡した5ドルを取り合い始めた
僕はその女性に5ドルを渡すと
同じく、
Can you find a job tomorrow
Do you promise?
「明日職を見つけて来い
約束できる?」
と言った
たぶんこの2人が明日
職を見つけに行くことは
まず無いだろう

しかし、この出会いに
合計10ドルのお金払った
価値はあったはずだ

少なくとも僕には
プライスレスな一時間だった

やるかやらないかは
彼ら次第だ
環境を変えることはなかなか難しい
楽な場所から抜け出すには
思い切りがいるもんだ
だけど誰だって挑戦する事を
失ったら人でなくなる
どんなに世間からゴミと言われようと
ゴミだって燃えるんだ

何にも燃えず
ゴミのような日々を送る
一般人だって沢山いる
ホームレス=ゴミ
ではない
そうやって街や社会に負けず
生きることを
ダンスから学んだ
ゴミ扱いされてた人間が
学校やNHKに招かれて
講師をする事に
強く自尊心を感じる
世の大人達はこぞって
コトバをひるがえし、
立派だねぇ

昔から人と違ったもんねぇ

と言う
昔は
「あの人は人とちょっと違うから
関わりなさんな

と言っていたのに だ

僕からしてみれば
そうやってうまいこと
コトバをひるがえし、
ただ上手に生きている人の方が
何の魅力も感じない
上手にコトバを選ぶ為の
学力ならば
学ばない方がまだ良し

このホームレスの
おっちゃんとは親子ぐらい
年が離れてると思うけど
お互い崖っぷちで懸命に生きている所は
二人共一緒だ
おっちゃんが持っていた
「HOMELESS」
と書いたダンボールの紙に
「Perfect combustion」
と書いて渡した
おっちゃんは5ドルですっかり
陽気になっていたが、
同じ場所で同じ時間に
物乞いをしていたら
今度は一発殴ってくる
5ドル分のチカラで。
安くても心に響くパンチだ
