少年は、海に沈む夕日を見ていた


地球のふちに映える、残照の美しさ

泣きたくなるような胸一杯の気持ちを、誰かに伝えたいと思った

誰かというのは多分、あの転校生の女の子だった

今ここに

彼女まで繋がっている、長い長い糸電話があればいいのに

少年は、思った


少女は、また転校する事になった

自分を何度もかばってくれた

あの目のキレイな少年にお礼を言いたくて、家を探した

路地をぐるぐると回ったけれど

とうとう少年の家は見つからなかった

彼女の手には

彼の名前を刺繍したハンカチが、残された


それから、随分長い時間が経った


少年は大人になって、外国で夕日を見ていた

すぐにケータイを取り出し

故郷にいる恋人に、その美しさを伝えた

その時何故か

二人が、長い長い糸電話で繋がっているような気がした


転校生も、素敵な女性になっていた

ケータイのGPSで

恋人の家に迷わずやってきた時

ふと、あの目のキレイな少年はどうしているんだろうと

思い出した


今、ケータイができることは、人が、昔々からやりたかったこと

人の想いに近づき、想いを後押ししてくれるもの


今まで超えられなかったものを、超えて行く