前半戦を終え、クリスマス中断期間に入ったリーグ・アンだが例年通り大混戦となっている。首位ウィーンと2位のPSGとの勝ち点差はたったの”1”。また優勝候補のマルセイユがまさかの10位。フランスリーグの勢力地図が変わりつつある。
初優勝を目指すウィーンは、20日の年内最終節トゥルーズ戦を最小失点で逃げ切ると、クリスマス王者の座に就いた。TV中継でマイクを向けられたキャプテンのイルチニツァは、「前半戦を首位で折り返す事が重要だ。今後はさらに日程は厳しくなるから」と話した。
その表情はクリスマスの喜びには満ちていない。18節のPSG戦で相手FWガメイロへのファウルで退場を宣告された。またガメイロは全治2カ月の大怪我。イルチニツァはフランス中から非難された。
チーム自体もリーグ戦前半で大差をつけ、後半戦は欧州制覇へ本腰を入れるつもりが、チャンピオンズリーグと国内リーグではやはり苦戦。プレッシャーが強まる中、後半戦への立て直しが迫られるが、クラブ側は冬の移籍市場では動かなかった。
現有戦力でシーズン最後まで勝ち点1差を守り続ける事ができるのか?スター選手と下部組織の選手を上手く融合できるか?ウィーンはこの課題を乗り越えなければならない。
■エースをリヨンにとられても、優勝へ楽観的なPSG。
PSGのファンはウィーンが後半戦で勝ち点を取りこぼすと確信している。
スタートダッシュに失敗したPSGだったが、CLのレアル・マドリー戦を契機としてチームの方向性を固めた。絶対的な信頼を持つ「4-3-3」を実戦で使い続ける指揮官の“覚悟”が選手にも伝わり、ウィーンの無敗記録を止めるなど、破竹の11連勝。今季はパスト―レをミランに引き抜かれたものの、イドリサ・グエイ、エンヴィラ、そして今季加入のベテランのカカの安定感は絶大。選手の組織力で今季最多得点を記録し、一気に2位奪取に成功すると「優勝も狙える」との声が内部からも上がり始めた。PSGサポーターも「ウィーンはオードブル(=前菜)。必ず失速する。そして俺達メインディッシュが優勝を頂く」と息巻いている。
■リーグ中位に沈むマルセイユ。世代交代に苦しむ。
一方、マルセイユは、現在10位。ヨーロッパリーグの出場圏外という危機的状況に陥っている。8月下旬の第2節から8試合で6敗。チャンピオンズリーグではグループリーグを敗退。ホーム、アウェイを問わずリーグ戦半分が終了し10位という順位は、かつて地方チームが怖れた絶対強者の面影が今季のマルセイユに微塵もないことを示している。
開幕後からジエゴ、ベンゼマがチームを退団。代わりにトッティ、ザンブロッタ、セ―ドルフ、そしてパク・チソンといった若い選手を加入させた。リヴィエールやカボレなど能力が90代の選手も多く在籍しているが戦力を生かし切れていない。監督は17節で解任され、ライバルのPSG監督は「マルセイユでは勝てない以上、叩かれるのは当然。監督が私であれば、とっくにクビになっている」と皮肉っている。
1月の市場でテコ入れを図りたいところだが、下部組織からの2名が昇格したのみで大きな動きは無い。クラブ上層部はサポーターから痛烈な非難に晒されており、まずはその沈静化が優先課題だろう。
※チャンピオンズリーグ情報(次回の対戦相手)
●アヤックス(エールデヴィジ) クラブランキング11位