今シーズンのグラハム・ドランスには、ACウィーンを引率し昇格を実現するという決意が見てとれる。昨シーズン、不調にあえいだチームと自身のプレーを大きく変えたものは何だったのか。常に本音を語ってきた型破りなエースに、現在の心中を聞いた。



──今シーズンは昨シーズンの不調がうそのような快進撃だね。絶好調の理由はどこにあると思う?


【ドランス】俺が知る限り、今シーズンのACウィーンは過去最高のスタートを切ったんじゃないかな。特に攻撃が良くなっている。以前は連係不足やイージーなミスで得点が少なかったんだけど、今シーズンはそういったプレーが一切なくなった。今のところ、死角は見当たらない。


──昨季、チームの最大の弱点は中盤の支配力の低下だったね。その弱点を改善できたのはやはり、ロマリク、ブラットリー、S・ユルドゥルムといった新加入選手の活躍によるところが大きいと思う?


【ドランス】新入りの選手はよくやっていると思う。でも、忘れちゃならないのが監督の手腕だ。今、チームが組織として機能して順調に勝てているのは、監督の正しい指導があったからだ。



──今季はACウィーンは大きく変わったし、君自身も変われたんだね?


【ドランス】もちろん。俺もニュー・ドランスに生まれ変わったわけだ(笑)。去年の失っていた信頼を取り戻せたのはとても大きいと思っているし、そのことはプレーにも現れているはずだ。


──具体的には、どんなプレーが向上したと自覚しているの?


【ドランス】一番変わったのは、ゴールの嗅覚だ。今シーズンはゴールへつながる動きや決定力そのものに大きな手応えを感じている。加入したばかりの俺は、決められた戦術を忠実にこなすことばかり意識して、ゴールすることを忘れてしまっていた。だから、今シーズンはゴールにこだわってプレーしたい。最低でも2桁は挙げたいね。


──でも、自分のためだけにゴールを目指すような独善的なプレーは監督が最も嫌うことではないの?

【ドランス】待ってくれ。俺は自分のためにゴールを決めたいなんて一言も言っていない。俺は昔も今も、チームのためにプレーすることだけを考えている。それは俺のアシストの数からも分かってもらえるはずだ。俺が言いたいのはゴールを狙うプレーを増やしていくということさ。


──ところで君は、ロダジェガのプレースタイルについてどう感じている? 彼は何が何でも自分でゴールを決めたいタイプの選手だよね。


【ドランス】誰がゴールを決めようが、俺としては構わない。ロダジェガは俺とタイプが違う選手だから、自分でゴールを狙うというスタイルであっても文句を言うつもりはないよ。でも、ゴール前にフリーの味方がいてもパスを出さずにチャンスを逃すようなことがあったら俺は黙っちゃいない。それはチームの勝敗に関わってくることだからな。


──最後に言いたい事は?


【ドランス】ACウィーンは偉大なチームへと歩み続けている最中だ。これまでの結果はその過程にすぎない。進撃はこれからだ。