日本語学校で教師をやっている後輩から追加のメールが届いた。

 日本にやってくる留学生、特に日本語学校の学生を一般的な日本人はどのように捉えているだろうか。

 1日も早く日本語をマスターし、より上の学校に進学し、卒業後は日本の企業に勤め、母国にはないより良い生活を手に入れようと孤軍奮闘している若者たち。そんなところではないだろうか。

 もちろんそういう学生もいる。しかし、そうでない学生も多い。以前はそう言うこともなかったと思うのだが、最近は特にそうでない学生が目につくような気がする。

 アニメなどの知識から、日本が天国のように見えるかもしれない。人手不足から日本に行けば、仕事はいくらでもあると思うのかもしれない。

 同時に、コロナで経営危機に落ち行った学校が、コロナが明けた途端、それまでに逸失した分を取り戻そうと選考基準を大幅に緩和して入学させてしまっていると言うこともあるかもしれない。とにかく学生のレベルが下がっている。それは学力とともに、人間性もである。

 これまで授業中に居眠りしてしまうものや、宿題をやってこなかったものなどはいくらでもいたが、授業中に注意されて、先生を睨みつけるというような学生はそうそういなかった。

 ちなみに私はわざわざ学生と書いているのは、高校卒業したばかりの生徒ではないとからだ。日本語学校への留学生で18、19歳は少ない。22、23歳が中心ではないだろうか。そのためすでに、大人を恐れないし、ある意味世間ずれした学生もいる。そういう学生の「自由」を許してしまうと、クラスが崩壊しかねない。

 私は2、3年前、実際に学級崩壊したクラスに一度だけ出くわしたことがある。廊下にまで、その様子が聞こえた。だから直接目視はしていない。しかしこれは明らかに学級崩壊と言って良いだろう。先生が叫んでいる「どうして勉強しないんですか?アルバイトをしに来たんですか?きちんと勉強しなさい!」

 学生たちは大きな声で話している。教室の端から端の人間に話しかけているような大声だ。1人や2人ではない。そんな声がいくつも飛び交っている。教師の声は無視である。

 その教師はその年度をもって日本語教師を辞めてしまった。実は、その光景にでくわした時、私は教室の中に入って静かにしなさいと学生たちをいさめようかとも思った。しかし、もしかしたらそれは出過ぎたことかもしれない、その先生のやり方があるのかもしれないと思い、とりあえず「今日のところは」と思いとどまったのだ。

 せめてドアをノックして「先生大丈夫ですか」位の声掛けをすればよかったと今でも悔やまれる。

 わざわざ日本まで来て、日本語学校に通い、先生に注意されると睨みつける留学生がいる。競争や倍率のなくなった全員入学の高校を彷彿とさせる光景である。

 何だか日本の教育も大変な時代を迎えようとしているのかもしれない。