心のシャッターを開ける

 

  A先生のことから、あのシンクロの鬼コーチの言葉を思い出した。

本気の指導者は何が違うかがこの文章から伝わってくる。

叱る裏には責任があります。それはしっかり自覚しなければいけません。私もできることなら褒めて勝たせたいですよ。でも残念ながら難しい。褒めたらその子は、これくらいでいいんだって思い込んでしまうんです。NGを出して、もっともっとってさらに上を求めるのは、その子の可能性を信じているからなんです。この子たち一人ひとりにものすごい可能性がある。私はそれを信じているんですよ。

叱るコツは三つあると私は考えます。一つは現行犯でしかること。二つ目が直す方法を教えること。三つ目がそれでOKかNGかをハッキリ伝えることです。そこまでやらないなら叱ってはダメ。それは無責任です。

嫌われても全然構わない。だから余計に、すべてが終わった後に、「この先生についてきてよかった」って言わせたいんです。だってその選手を指導するっていうのは、運命的な出会いですよね。だからなおさら「この人に教えてもらってよかった」と言わせたんです。

この頃、とみに思うのは諦めるのはいつでもできるということ。だから諦めたらあかん、諦めたらもう終わりだって。でも、そこで頑張り続けたらそれが当たり前になる。当たり前になったらまた前に行くんです。だから自分で限界を決めたらダメ。自分の可能性を信じなさい。思わぬ可能性が自分には秘められているんだよって。ですから、心のシャッターを開けることができたら、自分を助けてくれる人は世の中にいっぱいいるんです。

(「本気向き合えば可能性は開ける」井村雅代 シンクロヘッドコーチ 致知出版社)