「日本では有名な人はたいしたことがない。無名の人が偉いのだ」
中井 久夫
その偉さは「勤勉と工夫」にあると精神科医は言う。なかでも「既存のものをあまり目立って変えないようにし、外見は些細に見える変更の積み重ねによって重大な障碍を迂回し、精力の浪費なくして、中程度の目的に達する」工夫が尊いと。昨今のその痩せ細りを憂いつつも、それはしかし大問題の処理に弱いということでもあると注意を促す。随想集『「昭和」を送る』から。
「折々の言葉」 鷲田清一 朝日新聞 19・6・21
今世界を席巻しているのは強いリーダーがトップダウンで意思決定する国や会社や組織ではないのか。合議や工夫や忖度をしている時間はなく、強いリーダーシップでどんどん変えていけるものだけが生き残る。そんなことをホリエモンが言っていた。
教育の問題も同じかもしれない。それでも「誰一人として取り残さない」と偉い人が言っても、困った生徒を地道に面倒見ている無名の先生たちが意欲を失うようでは教育はよくならない。学校は会社と違って倒産できないから難しい。