みんなで学校を面白くしましょう

 子どもが「学校がイヤだ」って言う時の学校って何でしょう。

勉強?先生?友だち?建物?

 夏休み後半、「学校がつらかったら無理して行かなくて良いよ」というメッセージを新聞やテレビでたくさん目にしました。命を守るという意味では僕も賛成です。学校は命をかけてまで行く場所ではない。一方で、複雑な感情もあります。いじめ。授業がわからない。そんな学校が原因の行きづらさは、僕らが学校を変えて救う。でもそうじゃないけどしんどいって言う子は、学校ではなく、今の社会での人生設計がしんどいんじゃないかな。

 今の社会を作ってきたのは、学校で勉強して良い大学に行って、良い所に就職できた人たち。いわゆる「エリート」ですね。実際どうかは別として、これが今の社会では「成功」とされるモデルです。子どもは社会の二面性に敏感です。この成長モデルや社会の価値観はそのままに「学校に行かなくて良い」と言われたら、どちらが本当かと混乱しないでしょうか。

 西成高校で学ぶ子の多くは、不登校を経験しています。少しでもホッとしてもらおうと2012年、校内に民間団体が経営する「居場所カフェ」を作りました。また、小学校レベルからの学び直しもサポートしています。「わかる楽しさ」を感じ、やがて困難に出会った時に自分で向き合う力をつけてほしい。

 変わるべきは社会です。「学校に行かなくても良い」と言うなら、行かなくても子どもが人生の展望を描ける社会を作らなくてはいけない。校長の僕ができることは、行きたいと思ってもらえる学校作りをすること。大人がそれぞれの立場で社会のシステムを変えようと動くことで、子どもが将来に希望を持てるようになる。僕たち大人、動きましょう。

(朝日新聞 19・12・15 山田勝治)

 

 少し前だが、道頓堀で意気投合した校長が朝日新聞に寄稿した。大阪府立西成高校の山田勝治校長。全国校長協会人権大会で知り合い、その一週間後、学校視察に行った大阪で再会した。

 山田校長は荒れていた西成高校を教頭、校長と七年間で立て直し、別の高校に異動して退職を迎えましたが、西成高校が傾いてきたために再任用校長で古巣に戻された。私と同い年。今も再任用校長で西成高校にいる。

 

「なぜまた学校が傾いてきたんですか?」という私の素朴な質問に、「次の校長が、学校が落ち着いてきたので、さらに良い学校にしようと思って進学を重視したからですよ」と笑いながら答えてくれた。