負のサイクルに入った学校の再建は大変だ。そのままにしておけばさらに事態は悪くなる。体調を崩す先生も出てくる。その危機感を学校全体で共有することが良い方向へ変わる転換点となる。それにしても病院から学校に通っている校長の唯一の武器が笑顔だったのも今考えれば不思議なことだ。
***
しょうがねーなー
壊れた学校の再建
職員会議のない水曜日は緊張感の漂う将来構想委員会が開催されるようになった。重点支援校導入に反対のメンバーが大勢集まり、応募を阻止しようと反対意見をぶちあげる。それでもガンジー校長はニコニコ笑顔で聞いている。
「どうすればこの学校をよくできるかって、もう手遅れでしょう」
「地域の評判は最低です。定員割れでさらに大変な生徒が入ってくる」
「生徒もどうせこの学校の生徒だからと開き直っています」
「ダメな生徒の問題行動に追われて新しいことなんかできっこない」
「重点支援校の看板をつけたら、あの学校は重点支援が必要なほどダメになったのか
と地域の評判はさらに落ちますよ。逆効果です」
「校長、病人に鞭打つような学校改革はやめてください。我々は疲れているんです。
病気になったらどうするんですか」
それまで黙ってニコニコ笑っていた校長が急に弱々しい声で発言した。
「それでは私は帰ります。後はよろしくお願いします」
ガンジー校長が病院に帰って点滴治療を受けることは誰も知らない。「しょうがねーなー」とか「後はよろしくじゃないよ」とか「校長が一番やる気がないんじゃないのか」とか、ため息交じりの不平不満の声が上がる。
つづく