21世紀初頭は既に少子化が問題になっていたのですが、だからこそ?社会の動向は「子どものいない(欲しくても出来ない)人に気を遣え」という方向にシフトしたのでしょうか。特に様々な人が共存する職場、当時長く勤めている女性の多くが独身。くだんの年賀状ダブル印刷ほか、デスクやPC画面に家族写真を掲示するのも問題とされました(これは主に子育て中の若手男性とベテラン女性社員の対立)。
「子どもはまだ?」がご法度なのはもちろん、「恋人はいるの?いい人がいたら紹介しようか」もセクハラの範疇に。
「ええぜひお願いします!価値観が合えばパキスタン人でもいい」と返事して、実際に今の夫の紹介につながったのは私です。ジェンダー系の方々であれば「余計なお世話だ。結婚=女性の幸せだと決めつける旧態依然とした価値観である」と糾弾するでしょう。しかし結婚が増えないと子どもも増えません。
いやいや、結婚しなくても女性が一人で出産しても子育て出来る世の中にすればいいのだという論調もありました。女性の過半数が非正規就業でこれは難しいし、経済的に問題がない家庭でも“ワンオペ”という言葉をマスコミが流行らせてからか“育児負担の夫婦完全平等”を求める傾向も。専業主婦の妻が、残業で23時に帰ってきた夫に「子どもをお風呂に入れるのはあなたの仕事。今からやって」と迫る…なんて話も実際に聞きました。
「出来る方が出来ることをやらなきゃね~」と、総合職の子持ち女性どうしで話したものです。近くで聞いていた若い独身社員には「子育ては嫌なもの、夫婦や社会で押し付けあうもの」という感覚が刷り込まれていったかもしれません。
投票権が18歳に下がった2016年、高校三年生女子へのインタビュー映像が衝撃でした;「将来結婚して子どもも欲しいが、その時に保育園がないと大変だから投票に行きます」…おそらく彼女は保育園育ちなのでしょう。でも子育てって親でも出来るんだよ?
政治というより社会全体で広報しないといけないのは(子育ては楽しい!とてもパートナーや保育士には渡せないほど)ってことでしょうか?実際世田谷区の母親の意識調査は「子どもが小さいうちは自分で育て、手が離れたら再び仕事をしたい」要望が最も多いのです。保育園増設より母親復職の支援、そして兄弟の少ない現代の子は、保育園・幼稚園や児童館で年下の子の面倒をみる機会を増やすとよいかもしれません。これもヤングケアラーと呼ばないで。
まずは「子育て」のマイナスイメージを払しょくする手立てを、メディアが中心となって考えていただけないでしょうか。