岸田総理の発した「異次元の少子化対策」というキャッチーな言葉がたちまちマスコミを賑わせ、それに呼応するかのように小池都知事が「18歳までの子に月5000円支給」「卵子凍結の費用助成拡大(若年がんなど卵子保存が必要な理由がある人→特に理由がない健康な人へ)」などをぶち上げた。
これまでもこういったバラマキ施策を行っても子どもが増えていない現状があるのではないかと感じるが、5000円支給を実行するなら、5000円支給しない状態に比べて子どもが増えるかどうかきちんと検証、都民に報告してほしい。これは単に出生率の変動だけでなく、近い属性の近隣都市と比較するなり、5000円支給が始まってからの転入世帯数に着目するなり、専門家の分析が必要。5000円支給、何もしないよりよいという意見もあるが、税金を使う以上(民間でもだが)効果検証はすべき。子の居ないいそくみ同世代女性はこの政策、怒っていましたよ。
また、卵子凍結については健康な人にも補助を拡大する構想だそうだが、そもそも今凍結した卵子の何%が出産に至っているのか?保管するだけで結局取りに来ないケースが多過ぎると、止めた医療機関があったのではなかったか?リターン率が悪いなら卵子凍結については貸付とし、体外受精に至ったら返済減額、出産したら全額免除などとした方が、利用者側も(お金出してくれるならやっておくか)ではなく、真面目に考える女性のみが集まるのではないか。
最近の少子化対策はまるで戦時中の「産めよ殖やせよ」政策。あの頃は国が「たくさん子供を産みなさい」といえば女性は素直に6人、7人と子供を産んだが(うちは両親とも7人きょうだい)、今は反発を招くだけでしょう。
子どもが生まれない大きな原因の一つは、若年層の収入不安定にあると思っている。正規雇用の女性のほうが非正規より婚姻率が高いというデータ出ており、政策レポートにも掲載したことがあります。正社員になれば段階的に給与も上がるし、産休・育休を安心して取得できる。「正社員になれたら結婚しよう、子どもを持とう」で時期を逃してしまうカップルも多い。
いそくみ版異次元の少子化対策は「結婚ないし子供が生まれる予定の非正規社員(男女とも)は、希望すれば正社員に転換できる。転換前の給与は保証」※
どこか大手企業、ユニクロあたりで試験的にやってみませんか?結婚の心づもりがある若手の応募が増え、企業内出産率(というデータを作り公表する)が上がって、政府の表彰が受けられるかも…いやいっそ、社員に子どもいる率が高い企業は法人税減税とか奨励金を出すとか。
私の”異次元”少子化対策は、雇用の安定。異次元でもなんでもない、当たり前の話なんですけどね。
※「非正規から正社員に転換を請われるも、給与水準が下がるので断った」というケースをよく聞くので。企業が意図的に、断るように仕向けている場合もあるだろう。