連休は予報通りの雨、今日は特にひどい。夜7時を過ぎて夕食の食材が足りないのに気づき、一瞬雨が止んだ隙を見て自転車で喜多見のサミットに向かいました。

我が家から喜多見側に出るには、野川の横の遊歩道をしばらく通ります。茶色く水流が増えている夜の野川を見つつ自転車をこぎながら、ふと、伯父の「河童に会った」話を思い出しました。

祖父も伯父も朝日新聞の北関東支局の記者で、記者というのはギャグを言わなきゃ務まらないのかと思うくらい二人とも面白いネタをいっぱい持っていた。

伯父がいう河童の話とは、自転車で夜回りした時に会ったというのだ。小雨の降るなか川岸を自転車で走っていたら、何かが自転車の後ろに飛び乗った、ちょうど子どもを乗せたくらいの重さだったという。怖くて必死にスピードを上げて走ったら、暫くして川にじゃぶーんと飛び込む音がして、軽くなった。あれは間違いなく河童だ、と。

見たのかと聞いたら「怖くて振り向けなかった」と。(記者だろう!)

しかし夜の川沿いに自転車を走らせていると、その気持ちはわかるな。まだ青年記者だったろう、丸い眼鏡をかけた伯父の自転車の後ろにちんまり座る河童の図は、水木しげるのマンガの一コマになって脳裏に浮かぶ。

 

大正生まれの伯父は結婚式には出てくれ、その後数年して亡くなった。

それから暫くして、ある会合で隣り合わせに座った年配の方が著述業の名刺を出され、経歴に「朝日新聞 北関東支局勤務」とあったので、伯父の名前を出したらご存知でした。

「私には大先輩ですけどね。お酒に強くて、酒飲むといろんな話をして楽しい方でした」

なるほど、その話の中には河童も出てきたのだろうか?

戦争や外交など今NHKドキュメンタリーで再現するような歴史の1ページもよいけれど、地方の支局や役所、駅、学校職員が出逢う物語を集めたら、興味深い本が一冊出来そうに思います。