タイトルだけ見ると攻めているが、著者は子どもを英国パブリック・スクール(私立です)に入れている保護者ではなく非常勤の日本語講師。英国礼賛一辺倒でなく、日本の教育との違いを織り交ぜながら、出来るだけ客観的にパブリック・スクールの実態を描いてる本です。

うちも中高一貫男子校に通っている似ている点もあるかなーと思いながら手に取りましたが、全寮制であるところからまず違うし、習熟度別クラス編成や優秀者を表彰する制度などまるで違う。スポーツや文化活動が盛んなのは私立ではありがちですが、教える側も教わる側も”学ぶこと”の考え方、幅が違うのでしょう。監督生や部活の主将などはネクタイの色が違い彼らだけが使える特別な休憩室があるとか、生徒会役員は教員の推薦で選ばれるとか、もう日本と比べるのは止めよう、という気になります。

公立を中心に「制服や校則を廃止しよう」という意見も多い日本ですが(といってまた比べたくなる)、パブリックスクールでは規則も制服の着こなしも厳しい。また時には燕尾服(テールコート)やタキシードを着て式典に列席したり、フルコースディナーを食べることも学ぶ。

うちの夫など、結婚式のときに「一般の人は文化勲章かノーベル賞もらうか、新郎の時しか燕尾服を着る機会はありません」と言われ燕尾服を着たのですが、高校時代から燕尾服を着る練習をするイギリス人(結婚式の練習かもですが)…国際舞台で日本人は勝てるのか?

 

いそだ事務所インターン生には「インターン期間中、区役所や議員事務所に来るのに迷ったらスーツを着なさい。スーツは着慣れるほど身のこなしも出来てくる、よい機会だから」と教えていますが、いそだ事務所は自然とイギリス式教育をしていたのね!?

 

この本の舞台になっているのはハーロウ校といって、「シャーロック」の主演俳優ベネディクト・カンバーバッチの母校だそうです。確かに、(イケメンかは別として)折り目正しさを感じさせる俳優ですね。イギリスは演劇が盛んなせいか、オックスフォードやケンブリッジ出身の俳優(女優)が多いなとも思いますが、いろいろな意味で多才を伸ばすお国柄なのかもしれません。