ようやく冬らしい寒さがやってきて、秋頃に注文した、古いコートからリサイクルしたというアーミン(オコジョ、白テン)のスヌードを出してみました。

毛皮リサイクルに関心を持ったのは、数年前、成城の期間限定古着ショップで、ハーフ丈のミンクのコートを見たこと。銀座のホステスさんや女優さんがまとうにはオーソドックスすぎる、広がりも飾り気もない型で、上質に見えるがたったの五千円。毛皮のコートはうちの母親の時代からバブル期まで数百万円の覚悟で買う一大財産で、妻へのN婚式のプレゼントや、キャリア女性の自分へのご褒美だった。使った本人が亡くなって、「今どき毛皮なんて着ないよね」と遺族が売ってしまったのだろうなどと想像する。

乱獲、大量生産の現代で3900円のパーカーにも毛皮の襟をつけて消費するのは好ましくないが、数十年前に既にコートになっている毛皮は使ってあげないとミンクたちも浮かばれないのでは…

 

日本も温暖化していて毛皮コートの出番は少なく、コートを分解してストールやバッグにリメイクしているのを時折見かけます。

 

アーミンに興味を持ったのは、国王の赤ビロードのマントの裏地に使われるということだったから。オコジョは冬毛は真っ白で尾の先だけ黒い。美登利寿司の穴子一本握りのごとくアーミン一本毛皮を多数つなぎ合わせると白地に黒いドットの毛皮が出来上がる。これがステイタスがあるらしく、歴代国王はわざわざマントを裏返して裏地を見せるようにして肖像画を描かせている。王室版”裏は花色木綿”。(興味ある人はエリザベス二世、オランダ国王、トンガ国王等の「戴冠式」で検索ください)

 

取り寄せてみたら、思いのほか白い(クリームホワイト)。ミンクやフォックスと違い輝く差し毛がなく、全体にやわやわでぬいぐるみの表面みたい。首回りにしていると肌触りはとてもよく暖かいが、遠目にはアンゴラのセーターの襟にしか見えなくて、毛皮が標的にされがちな今のご時世によいかもしれない。

 

今の若い人は毛皮やジュエリーはオバサン臭いと思っていて欲しがらない。してみると、リメイク毛皮も(昔はこれ、高かったのよねー)と言いながら、有難がって50代以上女性が使って使い切って、ミンクや狐やオコジョの毛皮とともに、生涯を終えるのかもしれません。