9月後半でしたか、雑誌で、今上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展の紹介を見ました。写真はホメロス「オデュッセイア」の一場面で、美しい歌声で船乗りを惑わせる海の怪物セイレーンと、(通常船乗りは耳栓をするが)歌を聴きたいために柱に身を縛って防御しているオデッセウス。セイレーンはサイレンの語源でもあります。

美しい声で男たちを惑わせるのか・・・その時心に浮かんだのは、夜のライトに照らされて朗々と演説する小池都知事の姿でした。息子に言わせると「単に化粧の濃い60代」なんだそうだが、息子世代がキレイと評する広瀬すずあたりにはない、60代にしてなお輝いている様子が、ちょっと人生にくたびれてきた私たち世代を魅了するのでしょう。

小池さんは政界のセイレーンなのか。

柱に縛られてその声を聴いているのは前原さんかなあ、マエハラがんばれ…(とその時は思った。合流の前。)

あとで文献を見たら、セイレーンは声を聴かせても耐えて生き残った人間がいたら自分が死んでしまう(石になる)そうで、両者とも生死をかけた戦い。それもなんとなく政治の世界のように感じます。

今回の衆議院選挙も終わり、結果が出ました。野党再編はまだ過渡期ですが、つくづく思ったのは、マスコミ報道で脚色されがちな政治家の見た目やカリスマ性に惑わされず、どんな主張をしているか、有権者が冷静になって見ていかないといけないということでした。

 

「怖い絵」展は試験が終わったら改めて本物を見たいと思っています。