伯母にイニシャル刺繍のハンカチをプレゼントしたら、お返しに汕頭(スワトウ)のハンカチをいただきました。エビでタイ。
伯母は宝石のバイヤーの仕事でたびたび(返還前の)香港に行っていたから、中国刺繍やヒスイなど東洋の美しいものをいっぱい持っている。最近の汕頭は真っ白なものもあるが、昔ながらの下絵がエンピツ(薄墨?)で少しグレイがかったものでないとどうも物足りません。
自分が持っているいちばんゴージャスな汕頭と比べてみたところ、やはり伯母の持ち物、刺繍の盛り上がり、キレが違います。細かな部分の技法も、作り手によって差が出るものだなと、今自分が刺繍をやっているからよくわかる。
汕頭地区はもともと産業のない貧しい地域で、刺繍の技術はあったので18世紀にヨーロッパの宣教師が西洋の技法を伝授して(白地に白で刺繍するのはブロードリー・ブランシュ、糸を抜き穴をあけてレースのようにするのはドロンワークだ)汕頭刺繍が完成したとか。中小企業診断士的には興味あるお話です。若い女性の労働力に恵まれていたのでしょうね・・・高齢者だと、視力が追いつかない。
「汕頭刺繍はそのうち作る人が居なくなるから大事にするのよ」
母や伯母にさんざん言われたが、ヤフオクあたりでは
「昔香港みやげにもらいました、未使用」なものがけっこう出品されています。ヴィンテージものとして流通は続くでしょう。
丸の内勤めだった頃、女性たちの間で「汕頭のハンカチで濡れた手は拭けない。何に使ったらよい?」という話題になり、いそくみの「嘘泣き」という回答が名言とされました。
実際見せる用のハンカチだから、実用と二枚持ちが正しい。ハンドバッグの持ち手を、汗で傷まないようにスワトウで包んで持つという優雅な女性もいらっしゃいます。
個人的には、イヤリングやネックレスを外した時にこういうハンカチの上に載せたり、包んでおくとよいと思う。テッシュに包んで間違って捨ててしまったアクセサリーは数知れないと聞きますから。(スワトウなら捨てないだろう)