横田めぐみさんが、北朝鮮で母のことを語るとき「香水のいい匂いがした」と言っていたという。前回の選挙前、一度だけ体調を崩したいそくみが寝ていた時、当時幼稚園児の息子がふとんにもぐり込んできて

「ママ、いつもの匂いがしない」と悲しそうに言ったのが忘れられない。

奥さんの香りを記憶している男は少なそうだが(うちだけか?)、母親の香りは子供の心にずっと刻まれるものかもしれません。



実家の母は、服はユニクロも着るけれど、化粧品はいそくみより高額な外資系を好んで使う。JOYは母のいちばんのお気に入りの香水です。

その昔、父が研究所の所長をしていた頃、研究員に初めて仲人を頼まれた。「着物は大嫌い」と母は抵抗していたが、品川の伯母に借りた黒留袖姿は、子供の眼にも美しかった。そのご夫婦が新婚旅行の土産に買ってきたのがこのJOYのブラックボトル(手前)だったのです。

母はクチナシの香りだと言ったが、バラとジャスミン。その後も父が海外出張の折に、もっと軽いオード・パルファム(奥)を買ってつないだりしていたが、最近は父や娘の海外出張も激減し、

「ネット通販で探しても、これはないのよね・・・」と母は残念がっていました。

1930年発売の老舗品だから、ネットでコスメを買うような若い世代にはウケなさそうです。

私がゲランやディオリッシモをつけて実家に行っても

「あっJOY買ったの?鏡台の、私の残り少ないのを使ったんでしょ!」

と言うぐらいだから、よほどご執心なのでしょう。(区別がついてないとも言える)


ふと思い立って、ネットオークションを見たら、未開封品がかなり出ていました。ネットオークションは息子の学芸会用のスーツでこりていたが、今回は激戦することなく、2個セットを初落札。母はオードパルファムが好きなのでそちらをクリスマスプレゼントにして、私は香水をもらって、黒留袖で正装した40代の母を思い出しましょう。


大恐慌のさ中なのに高額なJOYがヒットしたという1930年代。今この香水を思い出したのは、アベノミクスの日本が似ているからでしょうか。