家に帰って電話セールスの研修資料を読む。せっかく営業の内定が出たのに気持ちがどんどん暗くなってきた。思い立って三菱電機の後輩にメールしてみた、

「〇〇という会社で内定が出たのだけど、電機の代理店だということなので、どんな会社か評判を教えてくれる?」

ほぼ1年ぶりのコンタクトだったが1時間ほどして返信をくれ、そこには

「リストになかったので担当部門に聞いてきました。その会社はうちの代理店ではありません。よく確認なさったほうが…」

と書いてありました。やはりそうかという思いと、控えめな性格のはずの後輩の素早い対応に驚きました。彼女は今や“代理店と名をかたりたいくらい”の企業の課長級であり、だまされそうな先輩のために奔走してくれたのです。うれしいやら情けないやら。

気になって同社に電話してみました。

「内定をいただいた者で、ハローワークに報告したいのですが、御社の従業員数は何名ですか?」

「従業員数ですか?私には分かりかねます」(えっ、わかんないの?)

ということは、隣の部屋で電話かけしていた人たちも、同じチラシ見て応募してきた研修生なだなけかもしれない。

小さい会社でもいいのだが、所在地や従業員数が不明だったり、嘘があるようではいけません。

電話を切ると玄関ベルが鳴った。スーツに作業着をはおった30代後半くらいの、感じの良い青年がチラシを持って立っていました。

「太陽光発電システムの設置のご紹介です。奥様、ご興味はありませんか?」

興味があるから今、電話セールスのマニュアルを読んでるところなのよ。

どことなく疲れた眼をしたその営業さんも、大手企業から流れてきた人に見えました・・・

いろいろ調べて結局その会社は内定辞退したのですが、あちこちで太陽光セールス合戦が行われていたことを感じさせる時期でした。

イギリスの産業革命もそうだったが、何か大きな産業構造の変化があってその波を普及させたいとき、材料費を下げるのには限度があるので、低賃金の重労働を強いるような気がします。ブラック企業と言われるところには、時代の先端をいく業種も少なくない。

代替エネルギーの普及は楽ではないし、きれいごとでは済まないと感じた、就活の想い出です。