北国の冬は、一日のほとんどが真っ暗だから鬱になって自殺する人が多いらしい。
寒くなって日が短くなって、ますます太陽を浴びなくなった。
完全な夜型になってもう五年ほど経つだろうか。
みんなにはヴァンパイアだといわれる始末。
鬱々としているから夜に生きるのか、夜に生きるから鬱になるのか。しかし、嫌々日を浴びていた時期はかなり精神的に不安定だった。
水分を奪う、じりじりと焼きつくされてしまうあの灼熱が過ぎて、瑞々しい宵闇につつまれると、空気に湿気が満ち、やっと流れだしてくる。
閉塞した内面にふかく潜り込んでいける。そして完全に這入り込めば無限にひらかれる。
この現代、闇にかくれて生きるアウトサイダーには有りがたく、夜勤の仕事がいくらでもある。しかも深夜というだけで手当てが付く。
みんなが寝ているときもだれかが番をしないといけないシステム。お医者や消防士、警備員みたいな命を担う方々、飲食店やコンビニ、工場の方達。
夜どおし点いている灯のおかげでみんな安心してねむれるというもの。
この反エコロジカルなシステムに便乗して己を生かす。
いつかの昔、人間のご先祖様が、闇にかくれてこそこそと餌をとりながら、ちいさくちいさく進化したみたいに、夜行性のにんげんがいてもいいとおもう。日中の喧騒から離れたいひとは夜へ夜へと逃げていく。
いつでも夜はやさしく訪れる。一人きりでも、月がずっと見守ってくれるから、あたたかい。
ひとり、しずかに。