ここまで食後血糖を意識するのは、ほどほどにという話を書いてきました。
では、心筋梗塞などを減らすにはなにを目標にすればいいでしょうか?
一番エビデンスが高いとされるのは、やはりHbA1cです。
1型糖尿病では DCCT/EDIC研究
2型糖尿病では UKPDS80研究
が有名!
どちらもまだ合併症がでていないあるいは軽度なフレッシュな時期から、しっかり血糖コントロールを行うと、10年後に心筋梗塞などの合併症がしっかり抑制できる!
というものです。
あまりに有名なので、ここで紹介するのはちょっとはばかられます(笑)
いちおうご紹介しておきます。
DCCT/EDIC研究
DCCTは1型糖尿病の患者さんを対象に頑張って血糖コントロールをすると、合併症を減らせるという事実を証明したとても偉大な研究です!
HbA1cの目標値が決まったのもこの試験の結果が加味されています。
左の暗い青の部分は約10年間の試験期間中です。
右の明るい青の部分は試験終了後の10年間です。
試験が終わった後の明るい青の部分では、
みんな同じくらいのHbA1c値で推移していました。
暗い青の最中は、
血糖コントロールをとても頑張ったグループ(赤線)も
ほどほどに頑張ったグループ(青線)も
大きな違いを認めませんでした。
試験が終わった10年後(明るい青の部分)に違いが明らかになります。
青線のほどほどに血糖コントロールを頑張ったグループでは心筋梗塞などが増えていくのに対して、赤線のグループでは心筋梗塞などがあまり増えてきません。
最終的に心筋梗塞などの疾患の発症率は約40%も減っていました。
大事なのは、一時期でも血糖コントロールを頑張ると、10年間はその効果が持続してくれる!
ということです。
DCCT研究が始まった際にすでに合併症があった患者さんもこの中に含まれています。
血糖コントロールはどの時期から頑張ってもしっかりと頑張っただけの成果がでることが、この研究では明らかになりました。
UKPDS80
2型糖尿病になりたての患者さんが血糖コントロールを頑張ると、年をとってからの心筋梗塞などがしっかり減る。
UKPDSは世界中の医者の糖尿病に対する考え方を変えた画期的な研究でした。
血糖コントロールを頑張ると合併症が予防できると明確に示したのが、UKPDSです。
UKPDSは1997年に終了しました。
研究が終わったあとは、みんなが同じようなHbA1cで推移していました。
このグラフはその後の10年間の心筋梗塞発症率を示したものです。
驚くべきことに、HbA1cは同じように推移したにも関わらず、試験終了後10年後までも昔血糖コントロールを頑張った人は心筋梗塞の発症率は低いままでした!
このように糖尿病治療を代表する2つの研究が、HbA1cを治療目標に頑張ることで、心筋梗塞などの合併症を減らせることを示しています。
食後血糖も大事ですが、やはり糖尿病のコントロール目標はHbA1cが優れています(^o^)/
次回ももうちょっとだけ食後過血糖のお話をいたします。