涙があふれちゃって…

悔しかった…


俺はこんな表情をさらしてはいけない…


ひとり泣くのは凍えた空の下で
缶ビールを手に咽ぶタバコの煙りであじわえばいい…


近所の公園で今誰にも見せたくない涙してうずくまっている…



2010年1月31日(日) 25時のことだ



男達の挽歌(エレジー)



1時間前に送別会がお開きした。


しかし急な召集によくまぁあんなにも人数が集まったものだ。

一報はその日の16時くらいだったと思う。


「M君とZさんが突然仕事を離れる。

 M君は翌日にはここを離れ地元へ戻る

 今夜送別会やるから今急いでメンバー募ってる」



春樹はすっとぼけて驚いてみせた。


送別会には急な誘いにもかかわらず20人以上が集まった。

そしてメンバーのほとんどは前日遅くまで同じ顔ぶれの飲み会で疲弊していた。



皆それぞれ絆が太い。



ところで春樹はこの事実の流れを1ヶ月前から把握していた。

そしてそれまでの過程はもう半年以上前からボチボチと耳にしていた。



今宵旅立つ二人はマドンナの後輩だ。


マドンナの重いオーラを理解できるのは同じカテゴリな生き物のみ。

そしてそのカテゴリに春樹は属す。

だからこそ確信を推測することができる。

そして今宵の主賓たる旅人達の心情も理解できる。




妬み…嫉妬…根拠の無い言いがかり…


降って湧いた災難の包囲網で彼らは精神を犯され壊された。



結果…

希望を半ばにその道を絶つ羽目にあう。


ひと月前唐突にマドンナに呼び出され酒を飲んだ。
彼女も憂い悩んでいる。

「M君を呼んでもいいか?」

の問いかけを拒絶する意思はサラサラない。


彼から生い立ちから昨今のわだかまりを吐き出させた。



「私じゃ言いづらかったり伝えられないこともあるから男同士で相談にのって欲しい」

マドンナに言われるまでも無くコイツのことよくわかる。


おそらくシーンは違えども春樹が歩んだ生い立ちとさほど変わりはしないって

M君23歳…そういえば春樹も同じような時期砕けた。
オリジナルを手直しして演出した劇画のように。


「男同士で今度飲んで語ろうな、必ず連絡しろよ!」


今日のこの日まで…

彼からの誘いは無かった。

確かに理解できる。
精神が壊れきった時は何もかもよくわからなくことは…


かく言う自分自身が壊れきった時もそうだった。

しかし…

この寒空に独りうずくまる心には寂しすぎた…


理解できるが寂しすぎた…






へたれ中年オヤジは彼とかなり近い道を這ってきた。
少しばかりでも道標にはなるはず。


「お前に物語りたかったよ…」




ゴメンな…

俺に力と説得力が無かったな…






酒の誘いがいつかかるか…
春樹は末永くドキドキして待ってるぞ…



お前に笑顔が戻るのを…


送別会の後素直に家に戻れなかった
コンビニでビールを仕入れ深夜の公園にうずくまろうと思った



体感温度は氷点下だろう…



でも何でこんなに頬が熱いんだ?!