Q、基本的な理解が不足した質問で申し訳ございません。
質問①の趣旨は、抵当権が設定された建物が滅失した場合に、(解説にあるように)新建物には当然に抵当権はないという結論になるのか?というのが疑問で、不法行為に基づく滅失の場合の損害賠償請求権や、火災保険金に抵当権の物上代位が及ぶのと同様に、新建物に物上代位が及ぶことはないのでしょうか?という質問であります。
及ぶとすれば、新建物に抵当権は代位され、土地をBが買い受けた際、法定地上権が成立するのではないかと考えた次第です。
よろしく御願い致します。 行政書士 2017年向け行政書士 民法 第25回
A、
いえいえ、こちらの理解力不足で、お手数をおかけし、申し訳ございません。
①について、新建物に物上代位ということはございません。
抵当権付建物が消失した場合に、その不動産の価値変型物として生じる「損害賠償金」や、「火災保険金」と、『新建物の建築』は性質が異なるからです。
ただ、消えた旧建物を新建物の価値で補完しよう、というのが、当該判例でも述べられている「新建物のために1番抵当権を得られた場合は格別…」
という表現にもつながるとは言えます。
また、そもそも、土地・建物に抵当権を付けている抵当権者からすると、
抵当権付建物がなくなることの損害は、限りなくゼロに近いという考え方が一般的です。
例えば、
更地の価値として、1,000万円の価値がある場合、その土地に建物が建つと、
建物:700万
土地:300万
の価値になると言われます。建物の方が価値(その土地を利用できる価値)が高いのです。
そして、土地・建物に抵当権を付けている抵当権者は、土地と建物を一緒に競売して、1,000万を回収しようと考えています(言うなれば、「更地に抵当権を付けている」(1,000万円)のと同じにしようと考えています)。
そのために、「土地・建物(両方)」に抵当権を付けているわけです。
次に、建物がなくなると、どうなるかというと、
建物:0万
土地:1,000万
となり、更地の状態となります。
抵当権者からすると、建物の競売はできなくなりましたが、
土地が1,000万円で売れれば、当初に期待していたこと(更地の価値を把握したい)と、相違なく、目的を達することができるわけです。
その後、抵当権者に被害が生じるのは、新建物が建築され、怖い方々がそこに住み始め、誰もその土地を競り落としたくなくなる時…というわけです。
講義 宇塚悠介
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ジャ、、、