Q、178ページ、賃借人Bが対抗要件を備えているか、いないかの違いについて、対抗要件(不動産賃借権登記)を備えている場合は、賃借人としての地位が明確であり、備えていない場合は単なる占有者となることから、AXの対応が異なってくるという理解は正しいでしょうか? ご教示のほどよろしくお願いいたします。 行政書士 2017年向け行政書士 民法(2016年版) 第35回
A、大まかなご理解としては、合っています。
「(対抗要件を)備えていない場合は単なる占有者となる」
という点は、間違いで、
対抗要件を備えていない賃借人も、賃貸人に対する権利を有します。
「では、対抗要件を有する大きなメリットは何か?」
それは、対第三者(=賃借人以外)に、賃貸借契約を対抗できる点にあります。
通常、「債権」(賃貸借契約含む)というものは、契約当事者同士でしか権利を主張できないはずです。
にもかかわらず、賃借権は、対抗要件を有することにより、第三者に権利を主張できます。
この点を、学者の先生たちは、「賃借権の物権化傾向」と呼びます。
土地の狭い日本、地主が強い日本では、「不動産の賃借人保護」というのは、優先的考慮事項であり、
「債権でありながら物権のような扱い」という傾向が生じてきました。
とても良い質問でしたので、これを機会に
・「対抗要件」とは何か?
・物権と債権の違いは?
という点を深く学習してみてください。
講師 宇塚悠介
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食ベ放題ノ、ヤツデス…