ずっと行ってみたいと思っていた“霧島国際音楽祭”に行ってきた。





会場となっているみやまコンセール

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みやまコンセールの森

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この日はファイナルコンサート。

チケットは早々と完売。人気の音楽祭だ。

今回は、女流ピアニストの最高峰といわれる

ロシアのエリソ・ヴィルサラーゼさんのピアノを聴きに来たのだ。



本当はリサイタルを聴きたかったが、夫と時間が合わないので

この日のファイナルコンサートまで我慢となっていた。


音楽評論家やクラシックファンのブログなどで、

一様に、「何かとんでもないものを見て聴いてしまったような感動」

とか、「何年かに一度出会う、心揺さぶられるような演奏」などと、

常に絶賛の嵐である彼女の、生の演奏を心から楽しみにしていた。


この日の演奏曲は、「シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」


指揮は、鹿児島出身で、かのマエストロ小沢征爾氏に「後継者の一人」

と言わしめた下野竜也さん。





聴衆の心からの歓迎の拍手とともに、演奏が始まった。




彼女のピアノの音は、まるで“クリスタル”のようだと評されるように、

本当に透明感あふれ、一音一音がはっきりと生き物のように

伝わってくる。

この透明感は、やはりロシアというお国柄なのだろうか、

冷たいのとは違う、でも寒い国の音がする。

それとも、彼女のお人柄?

いずれにしても、これまで慣れ親しんでいる音とは違う。


とくに、ロシアの音楽学院で講師をしていることもあるのか

その演奏に、強いリーダーシップを感じる。



ソリストの人たちは、大概個性が強いから、

そうなってもおかしくはないのだけど、

日本の演奏家に慣れ親しんでいると、

やはり、音も調和的というか、オーケストラとの協調性を感じるが、

それはそれでとても大好きなのだが、

彼女のそれは個性が強烈で、かといってそれが全く嫌味になっていない。


明らかにオーケストラは、彼女に追随しその音色に共鳴しながらも

畏敬の念を彼女に感じているのがわかる。



私は音楽家ではないから、音色がどうとか演奏がどうとかは

正直よくはわからない。

結局興味があるのは、その人の“人間的なあり方”になってしまう。

音に出てくる人間性に興味があるというのか。。。



その意味でもとてもすばらしい演奏だった。

聴衆の拍手はいつまでたっても鳴り止まず、

彼女は何度もそれに応えて、ステージに出てきては手を振った。


クラシックはあまり聴かない夫は、

「これって、何回くらい繰り返すの?」と、

あまりにも繰り返される拍手のリクエストに困惑気味だった。(笑)


今後、再来日はいつになるかわからないと言われる彼女の

本当にすばらしい演奏を聴くことができて幸せだった。



その演奏に、負けないくらい素晴らしかったのは、

プログラムの三曲目、

R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」作品59より ワルツ集


これも本当にすばらしかった!





初めて聴いたが、ワルツでありながら優雅さと、圧倒的な祝福感。

「バラの騎士」とは、歌劇の中の架空の儀式に登場する、

ウィーンの貴族が婚約の申込みの儀式に際して立てる使者のことで、

いかにも華やいだワルツが、これでもかと演奏された。

それが体の芯までを甘美さで包み、慶びの高揚感で圧倒してくる。

本当にすごい演奏だった!

まさに、ブラボー!!




聴き終わった夫は、「体が調整されたみたいだ」

と言っていた。



アンコールは、

ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー


最後まで素晴らしい演奏に、心からの拍手を送った。

心のそこから、そして体の隅々まで

音楽を堪能した一日だった。。。