そのエネルギーは、あまりにも明るく彼女を満たした。

久しぶりの再会を、心から喜び楽しみにしていた様子が

ありありと伝わってくる。



彼は、彼女を抱きしめるようにその傍らに現れた。

早く彼女と話したくて、子どものようにわくわくしていた。


彼には、彼女に伝えたいことがたくさんあった。

そして、それは彼女が聞きたいことでもあった。


彼女が一番彼に確かめたいこと。

それは、私の予想を超えたものだった。




現在、彼女には思いを寄せてくれる人がいた。

それは、亡くなった彼の友人でもあり、

彼も信頼する人だった。


彼女も、はじめは考えられなかったその人の申し出を、

亡き夫に対する気持ちとのハザマで、

少しずつ、きちんと考えてみたい気持ちになっていた。

彼女が、亡き夫にまず聞いてみたいこと。

それは、その事に関しての彼の気持ちだった。


意外な展開に、私はどきどきしていた。


わくわくしていた亡きその人のエネルギーは、

彼女の傍らで、やがて慈愛に満ちたエネルギーへと変化しはじめた。

大切な人への、深い愛情いっぱいのメッセージが伝えられた。




いいよ。

君の幸せが一番だよ。

彼なら、任せられると思う。

彼にも幸せになって欲しかったから。

君だったら大丈夫でしょう。。


僕は、話を聞いてあげられないし、

抱きしめてあげることもできないから。。。


彼に託すからね。。


二人が、僕のことを思ってくれているのもわかって嬉しい。。。


君が大好きだから、幸せになって欲しいんだよ。





彼女の目からは、大きな涙が溢れ出していた。




ごめんね。まだ一緒にいたかったし、

いっぱいしようと思っていたこともあったんだけど、

自分でもよくわからないまま、

こっちに来ちゃったから。。。


帰りたいけど帰れない。。

でも、姿がないだけでいつも見守っているよ。


すごく良い時間を過ごせたし、楽しかった。。

ありがとうね。

これからも一緒にいるから、

だいじょうぶだよ。

また呼んでね。





対話は、あまりにも美しく愛に満ちていた。



こちらの世界に残した大切な人への、

本物の愛というものを目の当たりにして、

私の中にも深い癒しが起きていた。


優しいエネルギーのその人は、

私の無邪気な質問にも快く答えてくれた。


肉体を去った後の体は軽いこと。
その軽くなった体で、そちらこちらに行って
色々見ていること。

人間界は小さいと感じること。

こちらの世界(人間界)にいたころは、
ちっぽけなことに腹を立てていたな、
と感じること。


人間界にいるままで、そのことに気づくには
心に余裕を持つこと。
自分にはそれがなかった、と感じるということ。


こっちにきてからは、
自分について振り返り客観的に自分を見れること。

こちらも修行だということ。


様々なことを彼は教えてくれた。

そして、とても貴重なことを伝えてくれた。



亡き人との対話という、

とてつもないことへの彼女の挑戦には、

宝石のように美しく、

慈愛に満ちたメッセージがたくさん降り注いだ。


この短い期間の中で、彼女は確実に変容を遂げていた。

でもそれは、彼女がこれまでのように

がんばって遂げた変容ではない。


自分と向き合い、自分の様々な部分を理解し

受け入れることを学んだことによって起きたものだった。


新たな愛を育んでいく人生へと、彼女は歩き出した。



美しい対話が終わった部屋の中は、

いつまでもいつまでも愛のエネルギーで満ちていた。




おわり