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『隔ての砂原』での一報がもたらされると、ギルドに激震が走った。『隔ての砂原』の調査団分隊が消息を絶ったのである。しかも、その隊のハンターは全員一流の腕を持つ手練れ揃いであり、前代未聞の出来事であった。
ギルドはこの事態に対処すべく、すぐさま緊急クエストの発令を決定した。
緊急クエストとは、その名の通り極めて緊迫した状況下にある地域に発令される任務であり、ハンターに拒否権はない。

「これは……今までとは比べ物にならないほど危険な任務になるな……」
ギルドマスターが険しい顔でそう呟くと、他のハンターたちも皆一様に表情を強ばらせた。そして、その場にいる全員が同じことを考えていただろう。すなわち、それだけ今回の緊急クエストの危険度が高いということである。
「しかし、我々がやらなければ誰がやるというのだ?」
一人のベテランハンターの言葉に皆が頷き合うと、彼らは一斉に立ち上がった。その目には強い決意の光が宿っている。
こうして
『隔ての砂原』に派遣された調査団救出のための緊急クエストは発令されたのだった。
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「ギアアァァ……」
『隔ての砂原』に、バーラハーラたちの不気味な咆哮が響き渡る。その数は十や二十ではきかないほどの数であり、調査団のハンターたちはその圧倒的な物量の前に為す術もなく追い詰められていた。既に多くのハンターたちが倒れ伏し、残った者たちも恐怖に怯えている。しかし、それでも彼らは諦めなかった。ここで諦めては、今まで犠牲になった仲間たちの命が無駄になってしまう。それだけは絶対に許されない。どんな手を使ってでも、必ずこの怪物どもを撃退してみせる。その決意を込めて彼らは武器を構え直した。
「よし、いくぞ!奴らを倒すんだ!」
リーダー格のハンターが叫ぶと、仲間たちが一斉に鬨の声を上げる。そして彼らは一斉に突撃を開始したのだった。
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『隔ての砂原』での調査団救出のための緊急クエストは苛烈を極めた。
バーラハーラは次々と増援を繰り出し、調査団に休む暇を与えない。しかも、その数は一向に減らず、むしろ増える一方であった。このままでは全滅は免れないだろう。しかし、だからといって諦めるわけにはいかない。ハンターたちは死力を尽くしてバーラハーラの群れに立ち向かい、なんとか包囲網の一角を食い破ったものの、既にハンターの生き残りは数えられる程度となっていた。
「くそっ!まだいるのか!」
リーダーの男は悪態を吐きながら必死に剣を振るっていたが、もはや体力の限界を迎えようとしていた。それでも彼は歯を食い縛りながら戦い続ける。仲間たちのために……そして自分自身の夢のために。しかしそんな彼らの思いを踏みにじるように、バーラハーラは容赦なく襲い掛かってくる。

(もうダメなのか……?)
リーダーが諦めかけたその時だった。
「ギャウッ!?」
突如、バーラハーラの一頭が悲鳴を上げて転倒したかと思うと、そのまま動かなくなったのだ。見ると、その額には大きな穴が穿たれていた。そして、その後ろには……
「あれは……ティガレックスか?」
そう、それはまさに『絶対強者』の異名を持つモンスターであった。その圧倒的な存在感と迫力は、他のモンスターとは比べ物にならないほどだ。そのモンスターは、まるで調査団を守るかのようにバーラハーラの群れの前に立ち塞がり、一歩たりとも近付かせないとばかりに咆哮を上げると、再びその鋭い爪を閃かせたのだ。
「グャアァァッッ!」
ティガレックスはその巨体を軽々と跳躍させると、そのままバーラハーラの群れに向かって突撃を敢行する。凄まじい衝撃が大地を揺らし、砂煙が舞い上がる。
「あれは……ティガレックスなのか?」
リーダーが呆然として呟くと、それに呼応するように調査団のハンターたちが騒ぎ出した。
「おい!あのティガレックスは味方だぞ!」
「そうだ!俺たちを助けてくれたぞ!」

口々に叫ぶ調査団の面々だったが、リーダーだけは違った。彼は知っているのだ、あれがただのティガレックスではないことを。
「あれは……『荒鉤爪』だ……」
「えっ?」と驚く調査団のハンターたち。リーダーは続ける。
「俺は昔、モノブロスと戦ったことがあるんだ。その時に見たのと同じ色をしているから間違いない」
そう言っている間にも、『荒鉤爪』と呼ばれた青いティガレックスは次々とバーラハーラたちを蹴散らしていく。その圧倒的な強さの前に、他のモンスターたちは恐れをなし、散り散りになって逃げていった。
「巻き込まれるぞ!退避しろ!」
リーダーの号令で、調査団のハンターたちは一斉にその場から退避する。そして数分後、そこには『荒鉤爪』だけが残されていた。
「グゥオォォ……」
『荒鉤爪』は一声鳴くと、そのまま何処かへと去っていった。
荒鉤爪ティガレックス
その存在は調査団のハンターたちに、
『導きの青い星』の再来として語り継がれることになる。荒鉤爪ティガレックスの噂は瞬く間に広まり、その姿を見た者は皆一様に同じことを言うようになった。「あれはまさに『導きの青い星』だ」と……
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著:AIのべりすと