詩…8
メロディー…10
サウンド…10
構成…10
総合…38
最初に蛇足から述べさせて戴きます。曲名の一部である『crawler is crazy』とは「御機嫌とり(crawler)は滑稽だ」という意味合いになりそうです。『ゴキゲン鳥』と「御機嫌とり」という言葉を重ね合わせながら、アイロニーを込めている曲名が非常に心に残りました。ところで「御機嫌とり」は本当に滑稽なのでしょうか。本曲における「僕」は「結局 御機嫌とるよ」という状況に陥っています。更に、元嵐を呼ぶ園児の父親ひ●しも妻であるみ●えの御機嫌とりをしている場面が多く見受けられます。そして…私石原マリアンヌも御機嫌とりのことを「カッコ悪い」と感じていながらも、いつも他人の御機嫌ばかり窺っています(笑)。本曲における「僕」を飼っている人物もみ●えも「偉大なる 本当の黒幕」として相応しい御方である、と妙に感激してしまいました(笑)。「偉大」や「黒幕」といった言葉は、形容されるべき人物にしっかりとした背骨が通っていないと使ってはいけない言葉だと思いました。歌詞においては、アイロニーを漂わせる言葉を用いながらも、結局はその「鳥カゴ」から抜け出すことが出来ない…人間の哀しい性(さが)をどこか喜劇的に描いているようで印象的でした。
「時々 僕は 吠えたくなるよ」というように「6畳1間の鳥カゴ(それとも10畳2間の犬小屋?)」での共同生活の不満が描かれています。それでも、前掲の「結局 僕は 御機嫌とるよ」と描かれています。また『何だかんだ言っても「幸せ」なんてちっぽけなもので Happy Birthday 2人で祝える そんなことで有頂天』というように不満があったとしても幸せを感じている生活を描写している点が個人的には好きです。全く不満のない共同生活や日常生活などは逆に味気ないものかもしれない、と私は思うからです。Happy Birthdayを2人で祝えるのは細やかもしれませんが幸せなことである、と感じます。大きすぎる幸せを求めるよりもちっぽけな幸せを求める方が楽しい生き方なのかもしれない、と考えるようになりました。
「結局 僕は 御機嫌とるよ」という歌詞も想い出深いです。異性と交際していたときにすれ違いがありました。振り返ってみると相手の御機嫌をとっていたのは何時も私の方でした。的確すぎるこの歌詞の意味を初めて体感できたとき、身震いしました(笑)。
さて、本曲は音の面において非常に独創的な一曲です。冒頭から奏でられるキーボードの音色が私にとって初体験の音色でした。その衝撃が未だに忘れることが出来ません。このキーボードの音色を中心に楽曲が構成されていきます。A・ギターや(多分)ハーモニカなどの楽器も加わり、魅力は更に加速していきます♪♪混沌とした印象がなく、調和が保たれているのがスゴいと感じました。キーボードを中心とした伴奏がアイロニーを込めた歌詞のなかにも喜劇性を感じさせる一因である、と私は思っています。
本曲は、PVについても印象的でした。前衛的なファッションをしていたからです。ボーカルの松岡充さんが素肌に黒のジャケットを着ていたり、顔に落書きをしている姿が芸術的であるとさえ感じました。SOPHIAの5名がおまるを背負いながら走る姿なども印象的でした。カラオケなどで観ることが出来るので、機会があったら観て下さいませ。
音とPV(主にファッション)からは前衛的な衝動を教わりました。そして、歌詞からは生きていくうえでの「幸せ」を教わった気がします。私が交際相手の御機嫌とりをしていたとき少なくとも不幸だとは感じませんでした。元嵐を呼ぶ園児の父親ひ●しもみ●えに対して、不満を漏らしつつも不幸な様子は見受けられません。御機嫌とりを出来る、ということは少なくとも不幸ではない…と思えてきました。私の人生において、教わることの多かった想い出深い一曲です★