猛獣編Part10 番外編  

ケープペンギンのヒナ

この文章を書いているのは7月に入ってからで、本州では熱中症注意報が発令していおり、はやくも札幌も夏日を迎えました。風がないと屋外ではじっとりと汗ばむ季節になりました。でもシャワーを冷水で浴びるととても気持ちがいいですね。

毎年この時期は、動物たちが高体温にまだ十分に順応できなくて、熱中症のような症状を出すことが多いです。われわれ人間は半そでのシャツや半ズボンになれますが、ほとんどの動物たちは人よりも体温が高く、さらに一年中毛皮を着たままです。

もし貴方が暑いと思った時には動物たちはもっと暑いということです。

我が家の猫たちも部屋でダラダラと寝てばかりで、人の体温でさえ暑いのかいつもべったりの茶エ門も近くにいません。でも食欲だけは減退しないのですが・・・

先日、卵から孵化してひと月ほどのケープペンギンのヒナ鳥が来院しました。

体温が高めで、呼吸が荒く危険な状態でした。鳥類は呼吸器の病気が多く特に感染症の場合には人に感染する疾患も多いです。また、ヒナ鳥では人工飼育の場合にさし餌を誤嚥させてしまうことが多く、特に飼育係には熟練が必要です。

レントゲンと血液検査を行い、血液検査上では、尿酸値が測定値オーバーで腎不全と高尿酸血症が見られました。高尿酸血症は人では肝臓障害などで見られ、痛風の原因となるプリン体が関係し、食事が魚卵や肉主体のぜいたく病ともいわれています。

鳥のヒナが???と思われるかもしれませんが、鳥類は生理学的に尿酸を代謝せずにそのまま尿で排泄するので、もともと尿酸値は人よりも高いのです。

それでも測定オーバーは異常です。徹夜の看病で何とか命をつなぎ留めました。

最近は国内の水族館でもペンギン類の死亡が多く、繁殖の成功率は下がっています。ケープペンギン(別名Africa penguin)は南アフリカ南端に生息していますが、総生息数は急激に減少しています。その原因の一つには海洋油汚染事故による大量死があげられています。

当然ながら国際的に野生のペンギンは保護されており、捕獲は禁じられています。

そんな希少な雛のペンギンを救うことができて、ほっとしましたが重なる疲労により寝こんでしまいました。

かなたの薄い記憶の中、雪原で遊んでいるペンギンの夢を見ました。とても楽しそうに涼しげで、飛べないはずのペンギンがなぜか空を飛んでいる夢でした。

ついに私の頭も熱中症にやられたようです・・・(笑

yahoo usaより  つがいのケープペンギン

 

 

追記;

退院後、10日が過ぎペンギンのヒナが

再検査にやって来ました。

すっかり元気でますます可愛くなっていますよ。