シェフDrS 其の六十三 ハマボウフウのペペロンチーノ

5月になると山菜狩人はフキ、ウド、タケノコ、ワラビなど自然の幸を求めて山へ採取に行きますね。山野に入るときに私が皆様に気を付けていただきたいのは、ダニから人へ感染するウィルス性の感染症「ダニ媒介性脳炎」と言う病気です。この感染は現在、国内では北海道で多く発生しており数年前までは致死率が70%以上でしたが、現在でも治療法はありません。ダニの体内にいるこのウィルスは吸血や直接触れることで人に感染します。主に春から夏に感染事項が多く過去に「春夏脳炎」という言い方もされていました。ワクチンが国外から輸入されていますが、非常に重篤な疾患ですので、十分にお気をつけください。当HPのコラムに詳細が書かれています。

先日のこと、気候変動による海岸の生物の調査に道南方面の日本海に行った時に偶然、ハマボウフウの群生しているところに出くわしました。

写真1 数百メートル以上ある砂浜の地表のいたるところに生えています。

この植物は欧米には存在していなく英語表記は「HAMABOUFU」です。96歳になる樺太生まれの父が、昔は砂浜にびっしり生えていたのが懐かしいと言っていましたが、日本中の海浜が開発や砂浜浸食によりこの植物は激減し、一部地域では絶滅危惧種で保護されているほどです。

北海道でも石狩浜の生息域では立ち入り禁止区域があり保護されています。

そのように希少なハマボウフウがいたるところに生えているのを見た時には驚きました。厳しい風雪を耐えほかの植物との競合を超えて生き残っていたのですね。

場所が保護地域ではないことを確認し、密生していて繁茂に影響がないものを少し選んで摘み取りました。

写真2 密になっているところから少しずつ採取しました。

写真3 ハマボウフウの葉は基本3葉で、風雨に耐え水分の乏しい砂地に適応した葉になっています。

予期せぬ収穫で、今すぐにどうやって食べようか考えましたが、手元にある道具と調味料でできるのはパスタしかありません。ハマボウフウのパスタなんて聞いたこともありませんでしたが、独特の香りを楽しむにはペペロンチーノがきっとよさそうとひらめきました。

調味料はガーリックスパイスソースがありましたのでこれだけでOK

ソーセージも少しあったので塩味に良いかと加えあっという間に完成です。

写真 残ったハマボウフウを湯通ししておひたしに。

Bon Appetit!

まずは一口いただきましょう。口の中から独特の香りが舌に感じるよりも鼻から脳に伝達されます。香りは鋭く刺激的で野草感がたっぷりです。食感はシャキシャキとしてこれもアクセントになり天然物を感じさせます。なかなかない味と香りに満足しました。市販の野菜とは全く異なる風味に感激しました。

自然の恵みに感謝!!!

おまけ 翌日帰宅し天ぷらにしました。サクサクして香りがあり何ともいえず美味しく召し上がりました。