2023年の北海道は例年よりも夏は暑く、秋になっても気温が高めでした。作物はあるものは豊作になりあるものは不作になっています。

気候は生物に変化を与えます。安定した気候というのは地球上には存在しません。

それが生物の進化の刺激であり、今の地球の生物の多様性につながっているのです。

ずっと同じ気候で変化が無ければ、進化は必要なくなってしまいます。

地球は絶えず変化をし続けており、氷期は大体2万年の周期で起こっています。温暖な時期と寒冷な時期を繰り返しながら推移しています。

現在はちょうど温暖な時期に相当しています。

北海道では過去にあまり捕れなかった南方系の魚がたくさん水揚げされ、日本では確認されていなかった熱帯の生物が見つかっています。

私は環境調査のため毎年各地の山に入ります。毎年の山の変化を記録し、さまざまな植物や生物で年度の比較をしています。

今年の秋は温度の変化の影響を受けやすいキノコ類の発生に変化がありました。

毎年よく見かけるイグチ類やナラタケは少なく、前回シェフDrSに登場したタマゴタケが多く見られました。

翌年にまた同じ場所で、またいつ発生するのかわからないのがキノコ類です。

「香茸」というキノコをご存じでしょうか?

名前からすると上品な香り高いキノコを想像させますね。

いままで、私はこのきのこの乾物しか見たことはありませんでした。

それを知り合いの方が採取し、初めて生の香茸と触れ合えました。

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見た目は黒くてあまりおいしそうには見えないというか、本当に食べても大丈夫なのか心配になります・・・

傘は反り返っていてラッパのように真ん中がくぼんでいます。とげとげ状な構造物が見られます。

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茎は中空でもろいです。傘の大きさの割に茎は貧弱な感じです。

傘裏はガサガサしたようなうろこ状になっています。

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匂いを嗅ぐと、酒かすのような少し甘くて発酵したような匂いというよりも臭気みたいに感じます。香水のように身体につけて嗅ぐわせたくなる気は起りません(笑

なんだか期待薄な気がしてきましたが、お料理にかかりましょう。

初めてのものはまずそのものを知るために、素焼きにしていただくことにします。

もう一品は、クリームパスタでしょう!この香りを生かすにはホワイトソースかオリーブオイルのみのパスタでしょう。

せっかくの素材ですので、はずれが無いようホワイトクリームソースの方を作ることにします。

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材料です。トマトは使ってないですけど。

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バターで軽くソテーをしてから別鍋でホワイトソースを作り混ぜて出来上がり。

画像7 ホイル焼きにしたキノコ

香りはかなり強くて、酒かすを焼いたような発酵臭と甘い匂いが混じっています。マツタケのように木の香りというのか森の香りはしません。

フワ~とした感じよりも、噛んだら鼻腔に届くような匂いで、

微香ではないです。わざわざ嗅ぎたくなる匂いではないですね。

画像8 パスタ完成

出来上がったパスタです。思ったよりも見かけは悪くない。

と言っても本体がホワイトクリームでよく見えないからかも・・・

画像9 いい感じにセット

このきのこはお料理をしているうちにとてもいい香りがしてきて、食指をそそってきます。キノコでは出せないなかなかないい香りで、さすがに「香茸」という名前がついたのが分かりました。香茸は見かけが悪いし、分類上名はイボタケ目というキノコの種類の名もね・・・イボか

では

Bon appetit!

ワオー・・・素晴らしいです!

特有のキノコ肉身食感があり、噛むともどし干しシイタケのように味がじわっと染み出てきます。傘に風味がありそれにパスタソースが絡み合ってとても良いハーモニーを作り出しています。香りよりも味見の方が次に迫ってきます。鼻(嗅覚)から舌(味覚)へと。

これは全く期待を裏切らないキノコです。期待を超えて味が素晴らしいです!類したキノコは今は知りません。

残った茸は3日間蔭干しをして冷蔵保存しました。

また次にパスタで食べるのが楽しみです。このきのこは絶品ですよ!!!