ひれ足海獣の中ではオットセイは芸達者として最も有名で、

バスケットボールをするなど海獣たちの中のエースでしょう。

また、北海道ではゴマフアザラシが繁殖するので          その姿を見られる、

     真っ白な赤ちゃんゴマちゃんは身近なアイドル的           キャラクターですね。

   アザラシ達のような水中で生活している魚食肉食の        哺乳類は多くが寒冷地に棲み、

生物学的には鰭脚類(ききゃくるい)と分類されます。

 

 

脚に鰭(ひれ)のあるという意味ですね。

何ともかわいい黒いおめ目と、

水中生活に適した流線形の体つきは他の哺乳類と違った、

どことなく不思議で癒される生き物ですね。

 

 

 

しかし、赤ちゃんゴマちゃんでも嚙まれたらワンコに噛まれた時の比ではありません。

大けがすることでしょう。

痛い!ではすみませんからやはり猛獣です。

 

 

 

       某園から、アザラシ達の健康診断の依頼で              血液採取を行いました。

野生のアザラシが保護されて来院することもありますが、

飼育環境下にいる場合も定期的な血液検査は重要です。

でも元気なときの彼らはとても力強く、

数人で抑えて採血ができるものではありませんし、

私が水中に入ってする?わけはありません。

 

 

 

 

   専用に枠場を作ってお互いにけががないように慎重に       無麻酔下で採血を行います。

  海獣類は寒冷や水中に適応した独特の皮膚組織があり      強い弾力で、

体表からは全く血管走行がわかりません。

さあて腕の見せ所です。一度で採血できるかな…

 

 

 

アザラシとオットセイは似ていますが、

後肢の血管走行は異なっています。

それは、アザラシとオットセイは別種の生き物だからです。

アザラシはアザラシ科でオットセイはアシカ科なのです。

二種の大きな違いは耳に耳翼があるオットセイと、

後肢が前方に屈曲可能であるかです。

後肢が前方に屈曲できないアザラシは

オットセイのように起立することができないのです。

その為、解剖学的な違いによって血管の走行が違うので、

採血は単純作業ではありません。

時にはさらに難作業となります。動画をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・短時間で無事に予定頭数の採血が終わりました。

その後、当院で血液生化学検査を行いましたが

どの子も異常はありませんでした。

 

次は来年!それまで元気でね!

 

   (ちなみに飼育係になれているショー用の子は簡単に    採血できます・・・)