II  1999年5月18日 PEP-Rより  (4歳11ヶ月)    その2  前回より続きです。


ケース1   「同じ色のところに置いて」

 色については、3歳前半から色と色名が一致して理解できており、今までのPEP-Rでも得意としてきたはずである。それなのに色の積木を手に持ち、指先で微妙に動かしながら、なかなか同色のカードの上に置こうとしない。「置いて。」と指示されると、チラッと高橋先生の顔を見ながら、わざと違う色の積木を置き、反応を見ている。その後も1つ積木を手にする度に、手遊びをして進めようとしない。


ケース2   「○(文字)ちょうだい」

 文字が大好きな嘉成は、普段文字カルタ取りで遊ぶのが大好きだ。最近は競争心も少し出てきて、他の人に先にカルタを取られると、悔しそうに「次は取るぞ。」という構えで臨んだりする。しかし、課題の中で「○(文字)ちょうだい」に、自分の気分で正しく渡して、次に、好きな文字を勝手に取っては、「イーッ。」と言いながら手先で揺らして、渡そうとせずに、にたにた笑いながら焦らせてる。


 ケース1、2では、相手に気を遣わず、むしろ挑発するような態度を取っている。高橋は先生は、反応しないで、淡々と課題を進めていった。それで仕方なく嘉成は指示された通りに置いたり渡したりするようになった。

 最近、家庭での課題中にも積木をわざと落として「どうだ?」という表情をしたり、手を添えて文字を書かせていると、私の腕にもたれかかって書けない姿勢になり、「へっへえ」と可愛い悪魔の顔つきで挑発することがある。最初は抑えて接していた私も、度々やられると「ちゃんと置きなさい。」「こらっ!」等と、感情的に声をかけては顔をしかめていた。そういった私の反応にどんどん嘉成はいろいろ手段を覚えいったのではないか。



     考察はその3に続きます。



 妻の記録を読み返してみると、嘉成の小さな頃が甦ってきます。


 こちらから見ると、そんな頭脳的な事ができるのに、こんな簡単なことにはボーっとしてできない(しようとしない)。そして頭脳的な事は、こちらがはらわたが煮えくりかえるくらい、イライラすることをしてきました。


 よく妻はこの時期を乗り越えられたと、感心いたします。ひょっとして真面目で熱心に関わる親だから、その反応が面白くて、いろいろとイライラすることをやってきたのかも。


 親ですから、愛があるが故に余計に腹が立っていました。


「可愛い悪魔」とは、まさにピッタリなネーミングです。

このセンスにも感心いたします。