母親の記録より


   トモニ療育センターの個人セッションに参加しての担任のA先生のレポート(1997年12月9日)



  嘉成君のセッションを見学しての感想


   私が嘉成君のセッションを見学させていただいたのは、第1回目の6月と第2回目の7月でした。

  嘉成君も初めの頃は、かなりの抵抗をしていましたよね。その時、あまりの泣き声に、目のやり場に戸惑った  私でした。

   あれから半年、よくぞここまでという思いで、見させていただきました。まず、あんなに長い時間、嫌がら  ずに椅子にじっと座って、次々と課題に取り組めるようになっていたことに驚きました。

   また目の前に興味のあるものがあっても「手は膝よ」という指示に従い、待つということがかなりはっきり  わかってきているということです。そうしながら、手でなく、目を使えるようになっていくのだということも  教わりました。河島先生のお話しに中に、「好きな物だからこそ、待てるようにしていかなければいけない」  と言われた所があります。確かに好きな物には、さっと手が出てしまいます。そこを次第にコントロールでき  るようにしていくには、生活の中でもけじめが必要です。嘉成君は偏食があるので、食事は他の子どものよう

  には食べません。ですから、おやつで大好きドーナツやホットケーキが出ると、皆より先に食べ初めても許し  ていた所があります。そういう所から、見直したいと思いました。

   一度出した指示はさせてしまうという所は、どの子にも言える、とても大事な視点だと思っています。子ど  も一人一人の課題を提起していく重大さを痛感している今日この頃です。

   河島先生方や嘉成君のお母さんから、学ばせていただくことが多くあります。これからもよろしくお願いい  たします。

   保育園では23日(1997年12月23日)に子ども文化祭りがあります。嘉成君は桃太郎の劇遊びでは、キジの  役になります。いつもと違う大勢の観客の前でも、みんなと一緒に楽しくできたらいいなと思っています。


  


 この担任のA先生は今も園にいらっしゃいます。

河島先生の療育を一緒に勉強してくださり、家庭と連携してくださいました。したがって24時間、河島療育の環境になりました。

 以前この項で書きましたが、いい先生との出会いは母親の負担をかなり軽減してくれる、それと共に目指している療育に近づくことができ、子どもへの効果もより見えてくる。

「保育園」の項は、は今回でひとまず終わりますが、息子は療育の河島先生、そして朝日保育園の先生方と、スタートからいい方たちと巡り会えました。



 私は今、息子とlさまざまなところで、ご依頼をいただき、息子とのこれまでの療育や関わりについて、当事者として講演をしています。

 息子が20歳で初めて個展をした際、河島先生が来てくださり、「今の嘉成君を初めて見た人は、もともとこんなに落ち着いていたんだ。だからうちの子とは違う。と思われます。私は嘉成君が激しかった頃、気が強くて、暴れて大変だった頃を知っています。お父さんはそれを世の中に伝える必要があります。そうでないと20年後の嘉成君は出てこない」と言われました。

 それから私たちの経験が、少しでも今本当に困っている保護者の方や、支援や療育や教育に携わる方に少しでもお役に立てれば、息子の25年前の状態にあるお子さんを少しでも救えると信じて、一生懸命講演をしてきました。

 

 2月4日にある市の保育士協会から、保育士さんの研修会で講演をしてほしいとのご依頼をいただきました。

私はいつも早期療育が最も重要で、就学前に適切な療育をすれば、その後の成長は全然変わってくる。と思っています。

この項をお読みいただいたらご納得いただけると思います。

 ですから、就学前の子どもに携わる保育士さんや幼稚園の関係の方対象の講演会は、最も伝えたい場です。お話しに気合いも入ります。しかしこの講演会は3日前に無かったことになりました。


 今までで初めてのことでした。