昨年、友人から不動産の売却したいお客様がいるので手伝ってくれないか?と連絡がありました。


その友人は僕と同じハウスメーカーに勤務していた同期で、新人の時に契約したお客さん。






もう35年前のこと。当然物件も築35年となるわけで、友人も僕も、もうその会社を辞めてかなり経ちます。


そんなに昔のお客さんと繋がっていることに驚いたものの、物件は他の大手不動産業者に頼んでいて、あまり熱心に売却をサポートしてくれなかったので、他の業者を探していだそうです。


流れ的には、ちょっと及び腰ではありましたが、やる以上はしっかり手伝うことにしました。


物件の調査に行くと、まだ前の不動産屋が付けていた看板がありました。




中古住宅としての売却ではなく、建物に見切りを付けて、土地で売ろうとしていたようです。しかもその不動産業者の査定した工務店で!


もうこの時点で不動産が売れない要素たっぷりです。


駅徒歩数分とか、都心で買い手がたくさんいる場所ならわかりますが、こちらは八街で駅まで徒歩25分はかかります。


室内も一見するととても綺麗に感じました。



僕もこの会社で現場監督をしていたので、かなりグレードの高い家であることはわかりました。




壁のタイルにはヒビが入っていて、洗面所の壁は水が染みてカビてました。




ベランダの塗装も浮いていて一部床も腐食しています。


他にも諸々ありましたが、今回の売物件としてこのまま売りに出すと、間違いなくトラブルになります。


これが嫌で前の不動産屋は解体して売地で販売することにしたのだと思います。


ただ、僕にとってみれば古巣の会社が建てた建築で、不具合の補修方法がわかります。(ホームインスペクターの資格もあるので、隅々まで調査もしました)


結果、手を加えれば家として、しっかり使える!


その手を加える費用はザッと安くみて700万円。色々好みの設備を選んでいけば1000万かかってしまうかもしれません。


今回は中古住宅の売却額の他に補修にかかる概算見積書も作成しました。


売主さんにはそれなりに安くしないと売れないことはお話ししましたが、更地にして売るよりも高く売れるのでこの方法で理解して頂きました。


そしてレインズに登録してネット掲載もしたところ、とても大きな反響が得られました。


購入申込も、3番手まで入る結果になり、最終的には1番手の購入希望者の融資承認がとれ、その方で進めることになりました。




契約の手続きも、弊社の事務所だと、売主買主にとって遠かったので、現地リビングルームに商談スペースを作り、重要事項の説明と契約の手続きをしました。


それから2ヶ月後の今日、無事に引渡しが終わりました。


古くなればなる分だけ不具合箇所が増え、トラブルのリスクは増えますが、仲介業者として、専門的な知識を両者に説明すれば、納得して安心して取引してもらえる事例です。


普通1000万円も修理費に掛かるならすぐに売れないと決めつけてしまいがちですが、方法はあるのです。