ベッドの湿気はちゃんと取って下さい。 | 石川くんのドロドロ地獄

石川くんのドロドロ地獄

映画と音楽と本をドロドロ…


高円寺阿波踊り理論というものが、この世には存在する。


高円寺阿波踊りは、毎年八月下旬・夏が終盤に差し掛かるその時に、

日本のインド・中央線のデトロイトである高円寺で催される、

阿波踊り大会である。


阿佐ヶ谷の隣でインドであり、杉並区内でデトロイトである高円寺には、

数多のバンドマン、写真家デザイナー志望、役者のたまご、K-3級格闘家

が闊歩する。


夏の終わりの高円寺は、決まって連中を憂鬱にさせるのである。



理由は様々だと思う。


「俺将来どーなんのかな…」

「俺って本当に才能あんのかな…」

「もう金ねえな。今月どうしようかな…」

「なんで高円寺のラブホってどこもベッドが若干ジメっとしてんのかな…」


理由は本当に様々である。



そんな連中に、夏の終わりの高円寺は高らかにアジテートするのである。



『踊るアホウに見るアホウ♪  同じアホなら踊らにゃソンソン♪』


悩む高円寺ヤングに、このアジテートはさらに追い打ちを掛けるものだ。



このメッセージを小難しく考えると、様々なメッセージが浮上してくる。


自主性の喚起。


逆に連帯感の発揚。


もっとひねった見方をすると、日本人に古くからプログラミングされている

共同体(ムラ)帰属意識に立脚する、付和雷同による思考停止の理論。



でも夏終盤でいちいち高円寺で悩んでる連中にはそんな小難しいこたあどーだっていいのである。


「俺って踊るアホなのか? 見るアホなのか?」


クソ暑い中ディッキーズの黒パンはいて、クレープ(トッピングはチョコバナナ)片手に、

そんなことを遠い目で考え出すのである。




高円寺にはとかく、「俺には才能がある! 俺は何か成し遂げるのだ!」

みたいな奴らが集まる。


そんな中で特に理由もなく落ち込むような連中は、自身の才能や将来にふと

疑問を抱き、高円寺阿波踊りのあのアジテートを受けて、考え込んでしまうのだ。


なぜなら才能は目に見えない。

それまで自分が培ってきた感性も、真に自分のものであるという根拠も無い。


自分が今していることは、本当に価値あることなのか?

それとも価値があると言われていることをして、ただ無為に時間を浪費しているのか?



「俺って踊るアホなの?  見るアホなの?」



5年前の8月下旬、当時バンドをしていた僕は、20000Vの本番前、

高円寺阿波踊りを見ながら、高円寺阿波踊り理論を発見した。


僕とボーカル君は黒のディッキーズでクレープ片手に憂鬱な気分になったものである。


(でも高円寺の次に吉祥寺ラブホのベッドはジメっとしているという

ボーカル君の情報にはもっとゲンナリした。

ベッドメイクのおばちゃんは室内の湿気取りにもっと気を配るように。)



僕は高円寺阿波踊り理論を、なにも表現者だけに限定して考えていない。


バンドやってるやつが偉いとか、びんぼーだけど絵を書いてる奴が偉いとか、

そういうこっちゃないのである。


仕事でも恋愛でも友達関係でもなんでもいい。


僕は人生を大暴れ出来るのかどうか。


生き方として「俺は踊るアホか見るアホか?」

それを考察するのが高円寺阿波踊り理論である。



もっと言ってしまえば、踊るアホが偉いとか、見るアホがダメとか、

そんなこともどーだってよい。

そういうこと言う奴が決まって一番ダメな奴である。


つまり自分の生き方をより楽しくするために、僕は踊るアホなのか見るアホなのか

見極めたいのである。



それを図るためにうってつけのツールがある。



映画

音楽



僕が作品に感動している間は、僕は踊ろうが見ていようが「アホウ」で

居れるのである。


僕が踊るアホウなのか見るアホウなのかは知らない。


但し「アホウ」では居たい。


だって「アホウ」でない限り、阿波踊りを見ることも、踊ることも出来ないのだ。



えっと…もういいかな、今まで書いたこと全部前置きです。



つまり僕今後、

「ネクロマンティックを中3の時見てしょ○べんちびりそうになった」

とか

「クリムゾンの哲学変拍子聞いてたら感動でゲ○吐きそうになった」

とか

「ちょっと気に入った子に鬼のように『蟲』の話をしたら二度とメールが

来なくなった」


みたいなことを述べていきます。



ちゃらんぽらんに。


ネクロマンティック1 完全版 [DVD]/ダクタリ・ロレンツ,ハラルド・ランド,スーシャス・コルテッド
¥5,040
Amazon.co.jp
レッド デビュー40周年記念エディション(紙ジャケット仕様)/キング・クリムゾン
¥4,410
Amazon.co.jp


D坂の殺人事件 (創元推理文庫)/江戸川 乱歩
¥546
Amazon.co.jp


しかしネクロマンティックのジャケットは本当にイカしてるなぁ~