ムラサキイガイはムール貝とも呼ばれ、フランス料理やイタリア料理で使われています。
それもそのはずで、原産地は地中海沿岸です。日本で確認されたのは1932年で、船のバラスト水に混入した幼生や船底に付着したものが、日本中に広がったのではないかと考えられています。
フレンチやイタリアンで使われているのなら、邪魔者なんかじゃないよね。そう思いがちですが、国内で採捕や養殖されているのはごく一部の地域です。石川県では養殖はもちろん採捕したものを市場で見かけたことがありません。釣りの餌としては人気なので、魚屋さんではなく釣り道具屋さんに行くと出会えますが・・・・・。
ムラサキイガイがブイや係留ロープに付着すると、水流への抵抗が大きくなり、その機能を低下させます。このため、ムラサキイガイなどの付着物を定期的に除去するという作業がついてまわるわけです。
更に、ムラサキイガイはカキと同様に、海水中のプランクトンなどを餌とするので、カキの成長を妨げます。カキ養殖業者の方は、あの手この手で除去に取り組んでいます。
ですので、多くの地域では、残念ながら売るというより駆除する対象でしかありません。
ブイに付着したムラサキイガイ(足糸で付着している)
岩のすきまに生息するムラサキイガイ
ムラサキイガイ(殻の下にはみ出しているのが足糸)
そんなムラサキイガイですが、ロープに着いたものを剥がして持ち帰り、酒蒸しにして食べたことがあります。ふくよかな旨みが口の中でひろがり、美味しさが際立っていました。今まで食べたものより大きかったせいでしょうか。別物と思うくらいの美味しさでした。
ロープの貝落としで出たムラサキイガイを集めれば、素敵な食材になります。是非、市場流通にのせてほしいと思うのですが、難しいのでしょうか・・・・・・・。
酒蒸しにしたムラサキイガイ