「石川の四季のさかな」の春はさよりとかれいです。サヨリは春の魚というイメージが強いのですが、かつては春漁と秋漁があり、漁獲のピークは年に2回ありました。しかし、秋漁は小型が主体になるので、資源管理のために操業の自粛が行われ、今では本当に春の魚です。
石川県水産総合センター主要10港水揚げ量をみると、2020年は16トンです。過去に遡ってみると、1998年には166トンだったこともあるのでかなりの減少です。資源の復活が望まれます。
さより船びき網という漁法があり、2隻で袋状の網を高速で引っ張り、表層近くを泳ぐサヨリを捕獲します。網の入口が波しぶきをあげているので、どこに網があるのかわかるくらいです。
サヨリは細魚や針魚の字が当てられますが、その名のとおり細長い魚です。下あごが伸びて先端が赤くなっています。
魚は火をとおすと味が変わりますが、サヨリほどイメージが変わるものは少ないのではないでしょうか?
刺身で食べると上品な甘みがあり、なんとも言えない旨みも感じます。細魚のイメージどおりです。ところが、ぶつ切りにしてすまし汁にすると、独特の香りが鼻に抜けてきます。サヨリってこんな強い味だったのかと驚きを隠せません。さらには、干物にして食べると野趣あふれる旨みが口の中に広がります。まるで、味の多重人格です!魚屋さんで見かけたら、いろいろと試してみて下さい。楽しいですよ!
サヨリの寿し