次年度予算編成は誰が責任を持つべきか | 清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ

次年度予算編成は誰が責任を持つべきか

今期かぎりでの引退を表明した星野市長が、昨年末ある席で「来年度の予算は僕が作っていいものなのか…」とポツリとつぶやかれた。
もちろん、無責任な言動でもなく、ご自分が予算編成の職責を全うすることから逃げているわけでもない。当然自分が予算編成をされることを前提としたなかでの発言であるが、このことについて私も関心を持っていたので、市長の問題意識がよくわかった。

新年度の当初予算は3月の議会で審議されるので、もちろん星野市長が編成作業を行なう。
ただし4月末で退任する市長が、自分が退任したあとの11ヶ月間の市政を拘束する翌年3月までの予算を編成して良いものかどうかは当然ながら気になるものだろう。

単年度の予算編成とはいえ、それは清瀬市の総合計画に基づいて策定される。
とくに4年間分の実施計画には年度計画と大まかな予算額まで明記されているので、
市長が誰であれ、基本的には実施計画に載せられた事業は予算化すべきである。

では仮に、予定されている事業に反対のマニフェストを掲げた候補者が市長に当選したらどうするべきか? 4年に一度の首長選挙は総合計画の見直しの役割も兼ねているので、当然ながら自身の掲げるマニフェストに沿って総合計画は見直すべきである。ただし清瀬の場合は4月が選挙なので、新市長が市政の状況を理解し、事業の見直しを始めるとしても、事実上その多くは翌年度の予算編成からになるのは仕方ない。もちろん年度途中の予算執行の凍結を妨げるものではないが。

総合計画にのっていない単年度の事業についてはどうか?
予備費として財源を留保しておき、予算化すべきかどうかは新市長のもとで判断するのが筋であるとは思うが、市単独事業であるならともかく、多くの事業は国・都の補助金も財源として多く見込んでいる。
例えば子ども手当は清瀬市実施計画には載っていない。では実施するべきかどうかは新市長の判断を仰ぐことにして、財源だけ予備費に計上しておこう…とはいかない。それではまず支給スケジュールに支障をきたす。それから財源の多くは国費であるため、国への申請業務にも支障をきたす。
他の補助事業も、この時期に国・都への補助申請をしないと支給されないことが多いため、「とりあえず予備費に積んでおこう」は事実上できない。

もっと現実的な問題は、清瀬市の場合は、経常収支比率が96%程度である。つまり一般的に入ってくる財源(税や地方交付税:約130億)の96%は職員人件費や公債費、生活保護等の扶助費に充てられるため、新規事業として自由に使える財源は、一般財源のうち4%分(5億円程度)しかない。一般財源130億の96%は誰が市長になっても使い道を変えられない義務的な経費と考えてよい。

こうした問題を解決するには、中央集権から地域主権へ徹底した権限の移行を進めるしかない。
ひも付きの補助金を無くすために補助金を一般財源化する。消費税の地方分の割合を増やすなど税源の移行を進めるしかない。

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それからもう一点。4月までの任期の議会は、新年度予算の議決に責任を持てるかという論点もある。
これも全く同じ論理で、議決は現在の議員の議会が責任を持つべき。ただし5月以降の新議会が予算の組み替えを議論することを禁止するものではないと考える。