突然、何もかも嫌になった。
夫から少し離れるためにひとりで旅に出た。
色々考えた。
旅の中で、吉◯圭子の事をずっと考えていた。
圭子は何が目的だった?
何を求めていた?
そもそも吉◯圭子って何者だ。
相談するふりをして、したたかに夫に近づいて、
家庭をズタボロにかき乱して、自分は無傷って、、、、
女は広い大海を漂っていた。
そこに偶然に現れた宿り木の男の舟。
女は男の小舟に擦り寄りながら、男の小舟に乗ろうとしていたわけではないが、ただ少し引っ張ってもらい優しくしてほしかったのだろう。
男は女を助けようとロープを投げてあげる。
男の小舟には妻が乗っていた。
女と男の一連のやりとりを見ていた妻は男に冷ややかな目を向ける。
妻は男と共に生きてきた小舟を降りようとした。
妻の態度に驚いた男は、女に投げたロープをすぐに断ち切った。
男はそれで全てが収まると思っていたが、妻の心の変化に気づいただろうか。
妻は男の小舟に乗りながら共に支え合い家族となり子供を育てた。
妻はいつでも男のために生きた。
しかし、その出来事があって妻の眼差しは遠い海の方を向くようになった。
女は一瞬で男とその妻の絆を壊した。
男の投げてくれたロープをたぐり寄せながらも、あっけなくそのロープは切られてしまい女は少し残念に思っている。
しかし女はすぐ他の小舟を探すだろう。
それがその女の性というものなのだから。
女は永遠に他の小舟を探しながら生きていくのだろう。
いつか己の強欲と罪深さに気づくことがあるのだろうか。
妻はもう男の小舟を降りる準備をはじめている。
男は気づかないのだ。
妻の心が自分から離れてしまった事に気づかないのだ。
私は何年経っても圭子と夫の事は許さない。
夫がそのような軽薄な男であったと知り、もう何もかも嫌になった。
夫はただのクズ男だったということ。
圭子はただのクズ相談女だったということ。
ふたりは浅はかで、自分さえ良ければそれでいいと思う人間であったということ。
夫の表の顔に隠されたもう一つの裏の顔を私は見てしまった。