インターネットの開発により、私たちは欲しい情報を簡単に手に入られる様になり、日常生活はそれ以前とは比べものにならないほど便利になった。だが、同時に悪意に満ちた情報や誤報により、著しく名誉を傷つけられる被害が増加し、大きな社会問題となっている。この背景を受け、Yahooが検索情報の削除について一定の基準を策定し公表した。

最近、特に問題となっているリベンジポルノや、事実無根の犯罪歴を書かれたなどの例は典型だが、何よりも厄介なのは、テレビや雑誌と違い、一度ネット上に掲載された情報は基本的には消えないという点だ。悪意に満ちた情報や誤報でも、訂正やお詫びが追記される事はなく、過去の情報を最新に書き換えるケアもない。

言うまでもなく、誰でも、どこにいても、何にも規制されることなく自由に発信できるのがインターネットの魅力であるが、表現の自由のもとに「書きっぱなし」になっている情報の劣悪ぶりに対し、「忘れられる権利」について、欧米では議論が活発化し始めた。

既にGoogleは、ヨーロッパにおいて削除のガイドラインを策定し、削除以来を積極的に受け付けているが、アメリカでは表現の自由が重視され、削除には消極的だ。

日本ではどうだろう。
Yahooのガイドラインを見る限り、削除の対象がやや限定されていて、「忘れられる権利」というよりは、未成年の保護に基準をおいているような気も否めないが、これををきかっけに、日本でも表現の自由と個人情報の保護という今までの視点の他に、ネットの出現によって新たな価値観として誕生した「忘れられる権利」について、議論が進むと良いのだが。