相次ぐ脱法ハーブ吸引による事故の報告に、本格的な取り締まりを始めた。
薬物による精神錯乱が引き金と思われる事故が後を絶たない現状を改善するのは、国家としては当然の事で、早い段階で手を打たなければ、かつてアヘンが蔓延して混沌となった上海の様に、無政府状態に陥らないとも限らない。

ただ、この問題の根本的な解決は、単に脱法ハーブを取り締まれば良いかという綺麗ごとではなく、薬物に依存せざるをえない人々が現実に相当数いるという社会と向き合う視点が必要だ。

脱法ハーブが脱法である所以は、「大麻や覚せい剤は駄目だけどハーブならいい」という法律をくぐっているからで、法治国家においては明確な違法が認められないものは処罰できない。いたちごっこと言われるのは、法律の改正が間に合わないとう問題よりは、人々が苦しみから解放されたい、快楽を求めたいと言う欲求のスピードの方が遥かに突き抜けているからだ。

もちろん、取り締まりの強化は有効な手段だ。
「薬物は絶対に駄目!辞めたい時には手遅れ!」もちろんその通りだ。

でも、「薬物を断ち切れる方法はある」という更生法を医学的に解明して、薬物を断つ手段を確立しない限り、法治国家における薬物のいたちごっこは終わらない。
現在、日本の法律で不法薬物の使用は初犯なら執行猶予が付くが、再犯率の高さは他の犯罪と比べ物にならないという現実を放置して良い筈もない。

常習性こそ薬物売買の温床となっているのだから。

新薬の開発に従事する研究者の数に対して、薬物を断つ医学的メソッドや更正プログラムの開発に取り組む医師は圧倒的に少ない。取り締まりの強化と同時に、こういう陽のあたらない部分に積極的に支援し、根本的な薬物排除への取り組む事こそ、最も有効で現実的な解決策だと思う。