数年前から、深刻な社会問題となっている外国資本による日本の山林の買い占めに歯止めをかける対策に苦戦しているようだ。

日本の水道水が気軽に飲める程、安全な水である事は、世界からみれば希な事で、水源である山林が世界中から狙われるている。

林野庁の調査によれば、平成17年以前には、外資による山林の買い占めは20ヘクタールだったのに対し、24年には801ヘクタールと急激な勢いで買い占めが進んでいるという。その大部分が中国を主とするアジア圏の国だ。増え続ける人口も伴い、水不足は彼らにとっては切実な問題だろうが、山林ごとごっそりと奪われる方としてたまったもんではない。

これまでは自治体に任せていた水資源管理を「国民共有の貴重な財産」として、首相が本部長を務める「水循環政策本部」を内閣に設置して、7つの省庁がバラバラに管理する国内の水資源を一体的に管理することを定めた。

しかし、根本的な問題として世界貿易機関(WTO)のルールでは、外国人や外国資本であることを理由にした森林買収の制限を認めていない以上、外国人(外資企業)に販売を禁止する事はできない。早い話、売る側の良識にすがるしかないのだ。

となると、「いかに売りたくないと思わせる制度」を作るかが鍵となるわけだが、どうしても財源が絡んでくる。山林を保有し管理する事で、その土地を預かるステータスのような特権を与えたあげる事が一番良いと思うのだが、平等主義の観点から、どうもう受け入れにくいようだ。

このまま、美しい国土、きれいな水、山里文化が奪われつづけるのを黙ってみているのは、辛い。