夏休みの読書期間に向けて、紀伊国屋書店がこの夏に仕掛けた「本のまくらフェア」は大盛況で話題になったが、今度は期間中に売り出された書籍の「答え合わせフェア」なる企画が催されていると訊いて、その商魂逞しさに脱帽した。

「本のまくらフェア」とは、既に出版されている作品(主に文芸書)の中から100冊をセレクトし、タイトル、作者、装丁、をあえて隠し、まくら(冒頭の書き出し)だけを印刷したカバーをかけ、ビニールパックされた書店オリジナルの本で、つまり読者はまくらだけを頼りに本を選ぶという「闇鍋のような楽しさ」を味わうという企画だ。

純粋な読書家というよりはトレンド好きが高じてか、期間中に数冊を買い求めた家人は「答え合わせは興味あるけど、わざわざ新宿に行くのも面倒だし、純文学は今はお腹いっぱい」らしく、あまり興味を示さなかったが、私はむしろ、フェア期間が終了しても、「まだまだ次に繋げまっせ」というあきんど魂に恐れ入ったという感じだ。

ただでさえ、文芸書が売れない時代だが、最近は電子書籍なるものも登場し、一部のファン以外は本屋から足が遠のきがちだが、こんな型破りな企画で集客するだけでも凄いが、答え合わせまで含めて「あぁ、あの書き出しは、あの作家の◯◯なんだ。今度、買ってみよう」と更なる購買に繋げようとするのだから、本当の狙いは、まくらフェアそのものよりも、それをきっかけに文芸書に光をあてることだったのかもしれない。

普段は仕事関係の活字に追われ、小説など手に取る事も無いが、今度じっくりと家人が買って来た「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている」と書かれたカバーの本でも読んでみようか。