年頭のブログで今年は世界的なリーダーの交代を問う選挙イヤーで、きな臭い年になりそうだと書いたが、フランスの大統領選でのオランド氏勝利と時を同じくして行われたギリシア選挙での野党躍進は、世界情勢を一気にわかり易くした。断っておくが、わかり易い=良好ではなく、むしろ逆で西洋諸国の文化的基盤に根付く民主主義は完全に崩壊してしまったと考えるのがトレンドとなったわけだ。

フランスといえばフランス革命に端を発する民主主義の発祥の地であり、ギリシアは西洋文明発祥の地、その両国で経済破綻の続く現状を脱却する方法として、緊縮財政にNOを突きつけ、社会主義的政策に答え求めたのだ。言い換えれば、『アメリカに対抗してEUという経済連合を作ってみたものの、我々は経済の発展などどうでもよくて、平凡でいいからもっと気楽にのんびり生きたいのだ』という原点回帰的な民意が反映されたと言うべきだろう。

彼らの主張はシンプルでわかり易く、個人的には私も豊かな田園風景や、エーゲ海の小島で時計を見ずに暮らす生活に憧れる。しかし原点に回帰できないのが悲しい現実であり、今や、西洋諸国とは対照的にアジアの急ごしらえの市場主義が世界をリードしつつある世界情勢の中で、ヨーロッパ流の極めてまともな成熟した文化が対抗できるとも思えない。

つくづく思うのは、政治とは振り子のようなものだ。いや、人間そのものが振り子が振れるように自由と規制、競争と平等の間で揺れ動く生き物だとしたら、その振り幅をできるだけ小さく、混乱を最小限に留めることが、唯一の「良き政治」なのだろう