2017年03月10日放送バリバラ・幻聴さんと暮らす~べてるの家の奥深い世界① | 芸術家く〜まん843

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お越しくださりありがとうございます

世界中から注目を集める
精神障害者のコミュニティーが北海道にある。
いまだ病院で過ごす
統合失調症の患者が多い中、
「浦河べてるの家」では
当事者どうしが支え合うことで
症状を落ち着かせ、
幻聴や妄想と共存しながら
地域で暮らす取り組みをいち早く行ってきた。
世界的にもユニークな「べてるの世界」を、
自らも統合失調症の芸人・ハウス加賀谷と
相方・松本キックの案内で
2週にわたって紹介。
精神障害の奥深い世界と、
地域で暮らす上での
壁を突破するヒントを探る。

出演者
松本ハウス(ハウス加賀谷・松本区キック)
IVANさん(モデル/タレント)
斎藤 環さん(精神科医)

常識をこえた『べてるの家』

精神障害者が集まって暮らす
「浦河べてるの家」の特集ということで、
統合失調症の当事者でもある
ハウス加賀谷と相方の松本キックの2人が
現地にて取材。
松本ハウスの2人にとって
3回目の訪問になる今回。
知った顔を見つけて
親しげに話していたところ、
「べてるのずんどこ節」という珍妙な歌で
二人を歓迎される。
さらに、
「べてる式自己病名」という
こちらも変わった自己紹介が始まる。
これは、自ら病名を付けることで
自分の症状を相手に伝えようというもの。
例えば、
“精神バラバラ状態”をはじめ、
“統合失調症金欠ウォーキング型
過去引きずり女タイプ”など、
症状は千差万別、
べてるの家では、
自分で理解して伝えることが
大切と考えているからこその挨拶なのだ。

精神障害で町おこし

べてるの家は、
「精神障害で町おこし」という
スローガンを掲げている。
精神科への入院が当たり前だった頃、
当事者とソーシャルワーカー、医師などの
手によってべてるの家は出来上がった。
入院させて地域の人たちとの
関係を閉ざすのではなく、
困ったことがあれば町の人たちと共有し、
ともに考えようとしてきた。
現在では、町の特産品の加工販売などで
地域に貢献し、
町になくてはならない存在になった。
斎藤環医師
「世界の精神障害の潮流っていうのは、
病棟をなくして
だんだんと地域に移行していこうとしている。
べてるはその最先端」

べてるの生きていく技術

幻覚や幻聴と共存しながら地域で暮らすため、
べてるの家が編み出したのが
「当事者研究」。
病気を医者まかせにせず、
自分で向き合うために、
仲間たちと話し合い、
妄想や幻覚と
仲良く付き合っていく方法を探す。
そうしたコミュニケーションを
大切にするため、
べてるの家では、
幻覚や妄想を誰にでも打ち明けられる
雰囲気作りを心がけている。
また、浦河町では
そうした話をしてもすぐに入院とはならず、
必要以上の薬が出されることもない。

べてるの可能性

取材中、みんなが気にかけていた
当事者のひとりが、
自己病名“統合失調症無人島漂流型多飲水”の
佐藤さん。
佐藤さんはアニメのキャラクターに似た
“ウラチュー”という2匹のモンスターの
幻覚・幻聴に苦しめられているという。
水さえ飲めば
ウラチューの声が聞こえなくなるため、
大量の水を摂取してしまう。
佐藤さんは仲間とともに
当事者研究を行った結果、
1匹のウラチューに、
もう1匹のウラチューを
なだめてもらうよう頼むと、
少しだけ改善が見られた。
佐藤さんは幻覚や幻聴と折り合いをつけながら
生きていくすべを身につけ始めている。
松本キック
「べてるの家は、
病気は治さないって言っている。
それを前提に自分を知る、
また仲間にその姿を見せることで、
改善していこうとしている」
斎藤
「べてるの家の取り組みは
通常の精神科医が驚くポイントが2つある。
1つは幻覚をゼロにする、
治るまで薬を飲まなきゃいけない。
もう1つは幻覚や妄想を
詳しく聞いちゃいけないというのがある。
そのダメなことを
全部やってうまくいっている」
「薬は飲み過ぎると生活の質が下がっていく。
頭が上手く回らないとか、
眠気が出てくるとか、
社会復帰が難しくなることもある。
こういう薬を使わないでいい
やり方を開発したっていうのはすごい」
IVAN
「こういう場所って全国にあって欲しいな」

玉木幸則のこれだけ言わせて!

ここで生きいてる!というメッセージ

あらためて(べてるの家は)本当に珍しい。
当事者研究、っていうのがあったけど、
あの取り組みはけっこう有名で
世界でも初の試みかもしれない。
当事者の幻聴などに
のっかっていくというのは、
これまでの統合失調症とかの治療では
禁じ手やからね。
でもあえて踏み込んでいく、
というのがすごいこと。
実際に効果が上がってるわけで。
収録では斎藤先生もおっしゃってたけど、
薬も必要だけど人とのつながりも必要。
薬が全部効くか?と言ったら
それは違うわけで。
もしかして地域に迷惑をかけるかもしれん、
けどぼくらはここで生きている!という
メッセージがあそこにはあると思う。