2014年8月31日放送美の壺「箸置き」 | 芸術家く〜まん843

芸術家く〜まん843

お越しくださりありがとうございます

◆壱のツボ 箸を休ませる遊び心
◆弐のツボ リアルを超えたひと工夫の輝き
◆参のツボ “見立て”が広げる箸置きワールド
{9634E7AF-22B0-4776-A5CD-349A7BDBD7B9:01}

{DACB74D8-C585-49DB-91C0-920FDB053309:01}

{0516BAB2-674E-43E0-8337-9E9D6BFEACAC:01}

{9B2A7A29-2CB1-48BD-A644-4E78761BCF4A:01}

{5FEF246C-942F-4A1E-90E9-4DCED34A708D:01}

{AFB1D61D-185A-49A0-A1DB-C02B204691D6:01}

{D7FA253B-30A0-4EFD-9BB6-E4689B57AF0F:01}

{0596B707-35C1-40AA-B722-93F99B62B446:01}

{E3E3E213-71D9-49FE-8F53-4547DD40516F:01}

{FEA312F1-2CBA-43A6-8CFE-D151A219F92F:01}

箸置きは小さくても箸をしっかり受け止めてくれる頼もしい存在。この小ぶりなサイズに思わず惹かれる人も多いんです。俳優の古田新太さんも実用的でかわいくて晩酌のおともに欠かせないと言います。
膨大なコレクションを持っている串岡慶子さん。お持ちの箸置きを見せていただきました。どれも個性的なものばかり。ひとつひとつが美術品のようです。

俳優の古田新太さんは50種類以上のマイ箸置きを持つ愛好家。コミカルな演技が人気の古田さん。集めている箸置きにもユーモアあふれるセンスが光ります。そして日々使う箸置きの選び方も実にユニークです。
例えば枝豆の箸置きを使うのは枝豆が食卓にあがった時。料理に合わせて箸置きを選び食卓を演出するのが古田流。
古田「自分の家をいい居酒屋にする。箸置きはそのための小道具。コースター敷いて酒作って料理もってきて箸置き選んで“お父さんの箱庭”を作るんです。」
美食家にして陶芸家の北大路魯山人も箸置きを作りました。美術店の黒田佳雄さんです。
黒田「魯山人は料亭をエンターテインメント、芸術空間と見ていたと思います。箸置きは主役ではないですが、こだわりをもって作り使ったと思います。」
魯山人がよく作ったのが魚の形をした箸置きです。愛きょうたっぷりの箸置きは食卓に置くとさらに生き生きします。美食家たちも微笑みながら会話を弾ませたに違いありません。箸置きは、食事の席を盛り上げる大切なアイテムです。
京焼作家の澤村陶哉さん。祖父の代からおよそ100年名だたる料亭に向けて箸置きを作っています。澤村さんの作る箸置きは細やかなデザインで知られています。縦およそ5.5センチ、横およそ2センチの短冊型の箸置きには小さな小さな季節の花や葉が細かく描かれています。ミクロな技が光ります。春の到来を告げるウグイスは裏返すと足まで描かれています。
澤村「“小さいからはしょる”ということはよくない。本当のものを見て小さく縮小して作ることで見た方が一目で『あ、これは』と伝わる物でないといけない。」
長さ6センチの美しいタケノコの箸置き。京都の料亭で使う若いタケノコの先っぽは茶色ですがこの箸置きの先っぽは緑です。
澤村「茶色一色のタケノコだとどうも愛想がない、かわいらしさに欠けるということで、あえて先に少し緑を入れたんです。」
食卓の上に置くと小さな緑が鮮やか。こだわりが光ります。
自然にあるものを季節に合わせそのまま箸置きとして使う。そんなもてなしをする日本料理店。店主の柏田幸二郎さんです。
柏田「四季のものを料理として出すのは当たり前。しつらえ、花、そして箸置きでも四季を出そうとやっています。」
美しい貝殻を箸置きにすると水ナスを使った夏らしい料理の食卓を涼しげに演出してくれます。秋は、本物の菊の花を箸置きに。自然のものだけがかもし出す、優しい風情が、食卓を包み込んでくれます。より季節を感じさせるおもてなしです。
骨董(こっとう)の世界にも、ちょっと変わったものを箸置きに見立てるという楽しみ方があります。古美術商の勝見充男さんです。
勝見「本来は何かに使っていた物を箸置きに見立てて使うのです。」
こんなものも箸置きに使います。香合(こうごう)です。香合とは、中にお香を入れる茶道具。勝見さんは、そこに塩こんぶや香辛料を入れて酒のつまみに。小粋な演出に、酒の席がいっそう楽しくなりそうです。
陶磁器のかけら“陶片”も箸置きに使います。形や大きさが箸置きに合うものを探しそのままの姿で使うのが勝見さん流。意外な箸置きひとつで食卓の表情は無限の広がりを見せてくれるのです。

◆出演者
司会
草刈正雄
語り
古野晶子